関東大震災の写真豊富な資料集・・・【情熱的読書人間のないしょ話(3152)】
野鳥観察会に参加し、29種を観察することができました。滅多に見ることのできない飛翔するハイタカの雄を目撃したのに、撮影技術が未熟な私は撮影に失敗しました(涙)。キジの雄とツグミ(写真1)、キジの雌(写真2~5)、ホオジロの雄(写真6、7)、カワラヒワ(写真8)をカメラに収めました。サザンカ(写真9)が咲いています。カラタチバナ(ヒャクリョウ。写真10)が実を付けています。小学生のK君が手にしているリースは、同行の母親がツタとスギを組み合わせて作ったもの――センス抜群!(写真11、母親から掲載許可を得ています)。因みに、本日の歩数は17,646でした。
【追記】翌日、K君の母親から、リースを作ったのはK君本人との連絡があり、当日の午後に、K君が他の植物を加えて完成させたリースの写真(写真13)が添えられていました。
閑話休題、『関東大震災――その実相と歴史的意義(新装版)』(中島陽一郎著、雄山閣)は、写真が多数収録されており、関東大震災の惨憺たる被害を目の当たりにすることができます。
本書は豊富な資料を活用した関東大震災の資料集という趣を呈しているが、その解説部分も充実しています。とりわけ、「流言・デマと虐殺の実証的研究」と「復活する軍国主義」の章は読み応えがあります。
「『朝鮮人の来襲』この荒唐無稽な流言がなぜおこったのか。震災による混乱のなかでは、すべてを失った民衆の不満や不安が政府や支配階級に向けられるおそれがある。これを防ぐために、朝鮮人や社会主義者への不安や恐怖心をかきたてて、これに憎しみを向けさせ、軍隊と警察による秩序の維持に民衆を協力させようとして、当局で計画的に放ったのだ、とよくいわれる。当局が計画的に流言をつくりだしたという確証は見当らないようである。だが朝鮮人や社会主義者を警戒し敵視していた警察官の活動が、この流言を誘発する役割をはたしたことは資料にも散見する。流言は、発生と流布とが厳密に区別できない性格をもっている。この流言は警察と軍隊の情報網にのせられることによって、いっさいの疑いを圧倒するような強力な流言となった。地震と猛火に脅かされ、いっさいの情報から断ち切られ、不安と植えと疲労に神経過敏の極にあった民衆は、『朝鮮人来襲』の報せをそのまま信じこんだ。その背景には、日本が朝鮮を圧えつけて朝鮮人のうらみをかっているのだという不安、朝鮮人にたいする差別にもとづく報復へのおそれがあった」。
「それぞれ異なった思想、感情、意志をもった人々の集合が、ある条件に支配されると、そこに特別な恐るべき『群衆心理』が生じ、各個人のそれとは、まったく違った思想や感情や意志を示す。そして、各個人を別にした時には、その教養や人格などからみて、到底するはずのないことを、行動にあらわすのである。すなわち群衆心理とは『個人の無統制集団において出現する一時的かつ極端に感情的な心的状態』を意味する。それでは、このような状態を生ずる条件は何かというと、それは『多数の人々の感情と意志とが、共通の方向をもつことである。または共通の利害関係に直面することである』。これらの条件のもとに人々が組織されさえすれば、群衆が、必ずしも同時に、一定の場所に集まらなければならないということはない。例えば関東大震災に際しては、関東一円の住民が、一瞬にして、一つの巨大な群衆(群集)を形成した」。「関東大震災のさいの、朝鮮人虐殺の大惨事を回顧しても、群集の力、暴力がいかに大きいかがわかる」。「『不逞鮮人暴動』の警察情報は市民を恐怖のドン底におとしいれた。自警団が組織され、それは憲兵・警察の黙認による権力が付与された。権力と恐怖はごく普通の平凡な市民を蛮行に走らせた」。こうして、自警団の公然たる殺人行為が繰り広げられたのです。