一日読書をしなければ、口の中に棘が生える・・・【情熱的読書人間のないしょ話(3174)】
図書館の貸し出しカウンターに飾られているハリネズミ――係員によれば、当図書館を利用している小学生の男の子が一枚の折り紙で作り、プレゼントしてくれたとのこと(写真1)。
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閑話休題、『本の虫――二人抄』(古田一晴・劉永昇著、ゆいぽおと)は、書店長と編集長が交互に綴った本を巡るエッセイ集です。
多くの文章が印象に残りました。
「調査でも、『電子書籍のコミック・雑誌』を含めると『不読率』は(47.5%から)35.9%に急減する。20代に限るとそれは23.9%にまで下がり、活字離れなど起きていなことになる。問題は、『読書』という行為が、何を対象とするのかである」。
「ジュンク堂書店の福嶋聡さんが、おおむね次のようなことを書いている。『かつて出版社は自らの信念に従って本を出していた・・・刊行当初は少数の読者しかいなくても、未来の読者を開拓し、文化の向上をもたらす本がある』。そういう本を見逃さずに受け止めることが、書店員の仕事の妙味だと思う」。
「一歩ではなく半歩先を行く編集が若者の気持ちを効果的につかんで夢中にさせた。募集枠1人の採用試験に400人が訪れたこともある晶文社。その出版活動の中心に小野二郎がいた」。
「『一日読書をしなければ、口の中に棘が生える』とは伊藤博文を殺害し旅順の獄中にあった安重根の言葉だ。閉塞した状況の中でこそ、人は自由な精神の糧として『本』を求めるものなのか」。
「古今東西、『文章読本』の類は数え切れないほど出版されている。谷崎潤一郎、川端康成、三島由紀夫、井上ひさし、丸谷才一ら大作家によるものからエッセイスト、評論家、ジャーナリスト、翻訳家まで、『文章のプロ』による読本が現在進行形でどんどん作られ、売られている。世の人は、それほどまでに文章力を身につけたいと願っているのである。・・・読み終えた数十冊の『文章読本』の中で特に面白いと思ったのは、芥川賞作家・村田喜代子の『名文を書かない文章講座』。カルチャーセンターの講座が本の元だから、要点を簡潔にまとめた構成が役に立ちそうだ。また例文にひとくせある作品からの引用が多く、読んでいて飽きない。本としての完成度が高い『文章読本』だと思う。吉行淳之介編の『文章読本』は、収録した20人の作家の文章からは筆にこめたそれぞれの思いが一望できて類がなく、お得感もある」。早速、『名文を書かない文章講座』と、吉行淳之介編の『文章読本』を、私の「読みたい本リスト」に加えました。