平安朝の貴族の姫君のラヴ・コメディ・・・【情熱的読書人間のないしょ話(3232)】
【僕らは本好き読書隊 2024年2月21日号】
情熱的読書人間のないしょ話(3232)
終日、雨――。雨でも、我が家の餌台「空中楽園」にはメジロ(写真1~3)が、「カラの斜塔」にはシジュウカラ(写真4~6)がやって来ます。
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閑話休題、『なんて素敵にジャパネスク』(氷室冴子著、集英社・コバルト文庫)は、一言で言うと、平安朝の貴族の姫君のラヴ・コメディです。
「あたし、大納言 藤原忠宗女(むすめ)、(16歳の)麗質玉のごとき瑠璃姫は、ついふた月前まで独身主義者で、世間の常識にのっとって結婚を勧めるとうさまと、毎日のように喧嘩していたものである。幼いころ、平安の都から離れた吉野という所で、家族とも離れて育ったあたしは、そこで吉野君(よしののきみ)という初恋の人と会い、嬉し楽しの幼年時代を送った。吉野君はすぐ死んじゃったけど、あのころの思い出があんまり美しいので、初恋の思い出に殉じて、生涯結婚はせず、清く正しく生きようと、けなげに決心していたのだ。だけど、紫式部という根暗のオバサンが書いた『源氏物語』という小説が、いまだに都じゅうのロングセラーになってるような現代の貴族社会では、独身主義なんて異端なのよね。あたしはとうさまの陰謀にはめられ、権少将という殿方と無理矢理結婚させられそうになった。そこを救ってくれたのが、衛門佐高彰だったのである」。
ワクワクしながら、このシリーズを楽しむのが本道だろうが、『源氏物語』や『枕草子』はちょっと取っ付きにくいという人は、本書でウォーミング・アップをするのも一法かもしれませんね。