榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

トルストイさん、この話は、子供には少し難し過ぎませんか・・・【情熱的読書人間のないしょ話(3311)】

【読書の森 2024年5月5日号】 情熱的読書人間のないしょ話(3311)

ヒトツバタゴ(ナンジャモンジャ。写真1~4)、シーラ・ペルヴィアナ(写真5、6)が咲いています。トキワサンザシ(写真7~9)の花の上の至る所で、多数のアシナガコガネ(写真7~13)たちが交尾しています。地上に落ちても合体したままです。水遣りしていた我が家の庭師(女房)が駆け込んできて、アゲハ(写真14、15)よ!

閑話休題、子供向けの短篇集『三びきのクマ――トルストイ ショートセレクション』(レフ・トルストイ著、小宮山俊平訳、理論社)に収められている『三人の息子』は、父が三人の息子たちに、「わたしのように暮らしなさい。そうすれば、幸せに暮らせるであろう」と言って富を与える話です。

一番上の兄は、父のように暮らすとは、遊んで暮らすことだと思い、父から与えられた富を使い果たし、行方不明になってしまいました。二番目の兄は、父のように暮らすとは、父が作った物全てを自分自身で作ることだと思ったが、失敗して富が尽きると自殺してしまいました。

三番目の息子は、兄たちの轍を踏むまいと熟慮した結果、父と同じことをするとは、人々に「善き事」をすることだと気づき、それを実行します。

話の終わり近くで、レフ・トルストイ自身が、これは譬え話で、父とは「神」、息子とは「人間」、富とは「命」を意味しているのだと明かしています。

トルストイさん、大人にも易しいとは言えないこの話は、子供には少し難し過ぎませんか。