榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

千利休、小堀遠州、北大路魯山人をばっさり斬り捨てた柳宗悦・・・【情熱的読書人間のないしょ話(3489)】

【読書の森 2024年10月28日号】 情熱的読書人間のないしょ話(3489)

ビールに苦みや香りを付けるホップ(写真1、2)、カラスウリ(写真3)、フェイジョア(写真4)、ナルコユリ(写真5)が実を付けています。よく似ているナルコユリかアマドコロか迷ったので、植物に造詣の深い菊地洋子さんに問い合わせ、ナルコユリと判明しました。

閑話休題、『新編 民藝四十年』(柳宗悦著、ちくま学芸文庫)の「利休と私」で、柳宗悦は千利休、小堀遠州、北大路魯山人をばっさり斬り捨てています。

●千利休
織田信長に仕え、次には豊臣秀吉に侍り、社会的または政治的位置を得たことは千利休を得意にしたかも知れぬが、同時に彼の「茶」を不純なものにしたことは否めぬ。もしも権勢に媚びず、もっと民間に「貧の茶」、「平常の茶」を建てたら、茶道はずっと違ったものになったと思われてならぬ。「わび茶」は貧を離れては、よもや徹したものとはなるまい。力や金を利用したことで、「茶」が普及したともいえるが、そこに早くも「茶」の堕落が兆したともいえる――と、権勢に媚びた利休の生き方を全否定しています。

利休が秀吉から死を命ぜられたのも、利休の横着と傲慢とが祟ったのであろう――とまで言っています。

●小堀遠州
率直にいって、小堀遠州の如きは歯牙にかけるほどのものでさえないと思われてならぬ。遠州好みといわれるものはいずれも趣味の過剰が目立って、美の本道からは遠いものだといってよい。下品なところはないまでも、早くも堕落を思わせるものが多い。中にはいやみで、きざで、わざとらしく、鼻持ちのならぬものさえある――と、容赦ありません。

●北大路魯山人
利休は人格の浄かった人、深かった人とは到底いえぬ。今でいえば北大路魯山人に輪をかけたような人間であったろう。なかなかの遣り手ではあるが、結局は、俗気の人で、禅の心境などからは随分かけ離れた人間であろう――と、魯山人まで巻き込んで、利休を論難しています。

これほどはっきり本音を吐露できる柳宗悦という人物に興味が湧いてきました。