榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

あなたにとって、「なつかしい一冊」は何という本ですか・・・【情熱的読書人間のないしょ話(3565)】

【読書の森 2025年1月8日号】 情熱的読書人間のないしょ話(3565)

ハクセキレイ(写真1、2)、カワウ(写真3)、コサギ(写真4)、アオサギ(写真5)をカメラに収めました。我が家の餌台の常連のメジロ(写真7~14)とシジュウカラ(写真12~14)。因みに、本日の歩数は11,232でした。

閑話休題、『来たよ! なつかしい一冊』(池澤夏樹編、寄藤文平絵、毎日新聞出版)では、50人の人々の、自分にとっての「なつかしい一冊」への熱い思いが綴られています。

個人的に、とりわけ興味深いのは、●草野仁が挙げた『人間の條件』、●伊澤理江が挙げた『ドナウの旅人』、●岡崎武志が挙げた『夕べの雲』――の3作品です。

●人間の條件(五味川純平著)
「思い余って、梶は特殊工人の中にいた元大学助教授に『私はどう生きれば良いのか』と問うた。返って来た答えは『人間として人間らしく生きるしかない』というもの。これが五味川純平さんが読者に訴えたかったことなのだと感じ、何度もそのことを問い返しながら生きて行こうと決意したものだった」。

●ドナウの旅人(宮本輝著)
「作中、忘れ難い一節がある。『賢過ぎる女も、それに愚か過ぎる女も、人生を劇のように生きられないわ』。賢すぎても愚かすぎても人生を楽しめない、と。人生は常に河のように流れ、二度と同じ場所(シーン)に立つことはない。それは『劇』のようでもある」。

●夕べの雲(庄野潤三著)
「『ここにこんな谷間があって、日の暮れかかる頃にいつまでも子供たちが帰らないで、声ばかり聞こえて来たことを、先でどんな風に思い出すだろうか』と、書かれた文章が本作のテーマだろう。私は若くして死んだ父の身代わりとして『夕べの雲』を読んできたし、これからも読む」。