榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

老化負債は遺伝子のダメージ修復の蓄積である――とは、どういうことか・・・【情熱的読書人間のないしょ話(3616)】

【読書の森 2025年2月28日号】 情熱的読書人間のないしょ話(3616)

ヒヨドリ(写真1)をカメラに収めました。クリスマスローズ(写真2~5)が咲いています。

閑話休題、『老化負債――臓器の寿命はこうして決まる』(伊藤裕著、朝日新書)は、正直言って、新書なのにいささか情報量が多く、多岐に亘っている。そこで、私なりに乱暴に整理すると、こういうことになります。

●加齢とともに、遺伝子の損傷が進み、その修復に伴ってエピゲノム変化(これが、老化負債)が積み重なり、その結果、ミトコンドリアの力が弱まることで、「負債病」が起こり、老化もどんどん進む。ミトコンドリアは、生きるためのエネルギー、まさに生きるためのお金を作り出している。ミトコンドリアの力が弱まると、生きるためのお金が潰えていく(「老化負債」、「負債病」など、著者は医学的状態を経済的状態に譬えている)。

●「老化負債」の「返済能力」はエピゲノム変化を是正し、エピゲノム年齢を若返らせる力であり、ミトコンドリアの力に依存する。返済能力がどんどん落ちていき、老化負債が嵩んでいき、遂には返済不能となり、生きるためのお金が潰えてしまう(破産)と、我々は死を迎える(「エピゲノム年齢」<遺伝子の年齢>のほうが暦年齢より、より正確にその人の体の老化の度合いを示すことが明らかになっている)。

●「投資」は、まだまだ返済能力が残されている間に、すなわちミトコンドリアが疲弊しきらないうちに、お金(生きるためのエネルギー)を使ってミトコンドリアを鍛えて、その力を強くしようとする行為である。

●「投資」の三種の神器は、食、運動、マインドフルネスである。マインドフルネスのカギはストレス対応だ。「日常のなにげない出来事の中に、面白い、心地よいと思えることを見つけ出し、その気付きに感謝することができる人は、幸福度が高いという調査結果があります」。