榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

推理小説にして、心理小説、宗教小説でもある『黒牢城』に疲労困憊・・・【情熱的読書人間のないしょ話(3687)】

【読書の森 2025年5月5日号】 情熱的読書人間のないしょ話(3687)

生物観察会に参加しました。リーダーからサシバの説明があった直後に、何と、サシバの雄(写真1~5)が、猛禽類の権威に敬意を表したのか、姿を現してくれました。チョウゲンボウの雄(写真6、Ktさん撮影)、ホオジロの雄(写真7)、ホシハジロの雄とキンクロハジロの雄(写真8、右がホシハジロ)、ホシハジロの雄(写真9)、ハシビロガモの雄とコガモの雄(写真10、右がハシビロガモ)、ハシビロガモの雄(写真11)、ハシビロガモの雄の若鳥と思われる個体(写真12)、ニホンアカガエルの後肢が出現している段階の幼生(写真13、14)、ミナミメダカ(写真15、16。参加者の8歳のお嬢さんが親切に、あそこ、あそこと指差してくれたので撮影できました)、アゲハチョウ(写真17)、ヒメウラナミジャノメ(写真18)、モリチャバネゴキブリの幼虫(写真19、20。和田猛さん教示)、ナナホシテントウ(写真21)を観察することができました。因みに、本日の歩数は14,059でした。

閑話休題、読書スピードについては人後に落ちない自信があるが、『黒牢城』(米澤穂信著、角川文庫)には想定外の時間を要してしまい、読み終えた時は疲労困憊してしまいました。

織田信長の有力武将であった荒木村重が毛利方に寝返り、堅固な有岡城に籠城します。そして、翻意を促そうと信長の麾下の羽柴秀吉が遣わした使者・黒田官兵衛(孝高)を土牢に監禁してしまいます。ここまでは史実だが、織田の大軍に囲まれた城内で奇怪な事件が続発し、人心が動揺するのを恐れた村重が牢中の官兵衛に謎の解明を求めるというのは、米澤穂信の途方もない想像力のなせる業です。

推理小説であると同時に、村重の心理小説であり、死にどう対処すべきかという宗教小説でもあるという、奥行きのある作品です。

村重の年若い側室で、奇想の画家として知られる岩佐又兵衛の母である女性が登場することを付記しておきます。

私の場合、その作品の魅力を伝えたいという思いから長い書評になるのが常であるが、今回は、疲労が激しく、長く綴ることができません。この疲労感は、頼みとする毛利の援軍が一向に来ず、勝ち目のない籠城戦が延々と続く村重の心情を読み手に体感させようという米澤の企みかもしれませんね。