榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

高峰秀子の考え方・行動が大好きで、自分もそういう考え方・行動をしたいと願っている私・・・【情熱的読書人間のないしょ話(3907)】

【読書の森 2025年12月3日号】 情熱的読書人間のないしょ話(3907)

天邪の鬼の私は、人々に持て囃されているジャイアントパンダよりも、地味なレッサーパンダのほうが好きです。ダイソーで目が合った550円のレッサーパンダはポーチなので、体全体がだらーんとしていたが、我が家の手芸職人(女房)が綿を詰めたら、しゃんとした縫い包みに変身しました(写真2)。これで、大分以前に上野動物園の売店からやって来て書斎に住み着いているレッサーパンダ(写真4)の友達ができました。

閑話休題、高峰秀子の考え方・行動が大好きで、自分もそういう考え方・行動をしたいと願っている私にとって、『高峰秀子 夫婦の流儀』(斎藤明美編、新潮社・とんぼの本)は、大変勉強になりました。

●私は、青年松山善三と結婚したとき、彼に向かってこう言いました。「私はいま、人気スターとやらで映画会社がたくさんの出演料をくれていますが、くれる金はありがたくいただいて、二人でドンドン使っちゃいましょう。でも、女優商売なんてしょせんは浮草稼業。やがて私が単なるお婆さんになったときは、あなたが働いて私を養ってください」。「ハイ。分りました」。・・・そして、それから四十七年。半病人のマダラ呆けになったオバアの私を、これも老いたる猪に変貌した松山オジイは、脚本書きの収入で約束通り、私を養ってくれている。小さな台所でお米をとぎながら、オバアはひとり呟いている。「ボカァ、倖せだなぁ」ナーンチャッテ。

●互いの仕事に口出しをしない。相手の時間を奪わない。

●愛情というのは、相手が望むようにしてあげること。

●本好きの二人が近所の書店へ。それぞれ真剣に本を選ぶ。

●高峰秀子に「見合う人間になりたい」。

●何を良しとし、何を美しいと感じるか。それが人間としての根源だ。

●80歳になる頃には、完全に外界との接触を絶っていた。高峰はひきこもるようにして家を出ず、ひたすら三度三度の食事作りと読書に専心、洗濯とゴミ出しはそれまで通り、松山が続けた。

●高峰は「老い」より、その先にある「死」をめざして準備していた。できるところまでやって、できなくなれば死ぬだけのこと、そう思って毎日家事をしていた。

●だって裸で生まれてきたんですもん、裸で死んだらいいんじゃない?

●金も名もいらない。跡残さぬ死がいい。