「みるみる理解できる」レヴェルまではいかないが、本書のおかげで、量子論のアウトラインは捉えることができた・・・【情熱的読書人間のないしょ話(3910)】
キダチチョウセンアサガオ(別名:エンジェルズトランペット。写真1~3)が咲いています。









閑話休題、私の書斎には、「積ん読コーナー」があります。そこには、読まねば読まねばと思いながら、長年、未読のまま、あるいは途中で挫折した本が98冊並んでいました。3年ほどかけて一冊一冊と攻略してきて、最後に残った一冊が、『みるみる理解できる量子論――相対論と並ぶ自然界の2大理論 摩訶不思議なミクロな世界』(和田純夫監修、ニュートン プレス・Newton別冊)です。難解とされる量子論が、数式なしで分かり易く解説されています。
読み終えて感じたことは、もっと早く読んでおけばよかったということです。そして、19年前に発刊された書籍だが、内容は決して古びていないということです。
●20世紀初頭に、それまでの世界観を覆す2つの理論が誕生した。時間と空間の理論である「相対性理論」と、ミクロの世界を記述する「量子論(量子力学)」である。量子論がなければパソコンや携帯電話も生まれなかったと言われている。
●量子論を考慮していない物理学のことを「古典論(古典物理学)」と呼ぶが、その意味では一般相対性理論も古典論なのだ。
●量子論の世界では、私たちの常識は通用しない。量子論によると、電子のようなミクロな粒子は壁をすり抜けたり、何もないはずの空間から突然生まれたり消えたりする。宇宙誕生の謎も量子論が解き明かしてくれると期待されている。
●量子論を理解するキーワードは、「波と粒子の二面性」と「状態の共存」である。
●量子論誕生以前は、光は波であり、電子は粒子と考えられていた。ところが、ミクロな世界では、光や電子などは波の性質と同時に粒子の性質を持っているというのだ。
●光は電磁波。電波も赤外線もみんな電磁波の仲間。電磁波(光)とは、「電気を持った粒子を振動ささる作用が空間を伝わっていくこと」と言える。
●光子とは、「波の性質を持ちながら、それでいて最小の塊からなり、1つ2つと数えられる代物」である。
●量子論によると、ミクロな世界では「一つの物体が同時刻に複数の場所に存在できる」というのだ。状態の共存は、観察すると崩れてしまうという。
●不確定とは、「実際は決まっているが、人間には知ることができない」という意味ではない。「多くの状態が共存していて、その後、実際に人間がどの状態を観測するかは決まっていない」ということを意味する。
●自然界はミクロな視点で見れば、何もかもが不確定で曖昧なのだ。「エネルギーと時間」の間にも不確定性関係がある。私たちが認識できる程度の時間ではエネルギーの不確定性は無視できるが、ごく短い時間ではエネルギーの不確定さは非常に大きくなる。この不確定性関係と相対性理論から驚くべき結論が導かれる。何も存在しないはずの空間(真空)でも、物質が生まれたり消えたりしているというのだ。
●電子も本来なら通り抜けることができないはずの「壁」をすり抜けることができるのだ。これを「トンネル効果」と呼んでいる。
●量子論は、「金属」や「絶縁体」、「半導体」といったさまざまな固体の性質も明らかにした。量子論に基づく半導体の正しい理解がなければ、現在のようなIT社会は生まれなかっただろう。
●量子論は、自然界の4つの力のうち、電磁気力(電気力と磁気力<磁力>)、弱い核力(弱い力)、強い核力(強い力)の説明には成功しているが、重力を量子論の枠組みで説明することには、まだ成功していない。
●量子重力理論とは、量子論と、重力の理論である一般相対性理論とを融合する理論。多くの物理学者がこの「究極の理論」の完成に向けて努力しているが、いまだ完成に至っていない。
私は「みるみる理解できる」レヴェルには至っていないが、本書のおかげで、量子論のアウトラインは捉えることができました。
この書評を書き上げてから、ChatGPT5に「量子論を280字で解説してください」と依頼したところ、このような答えが返ってきました。「量子論(量子力学)は、原子・電子・光などミクロの世界で物質やエネルギーがどのように振る舞うかを記述する理論です。最大の特徴は、エネルギーが「連続」ではなく最小単位=量子として扱われること、そして粒子が同時に波の性質も示す「波動性・粒子性の二重性」です。電子の位置や運動量は同時に正確に決められず、確率でしか表せないという不確定性原理が成立します。量子状態は観測されるまで複数の可能性が重なる「重ね合わせ」をとり、観測によって一つの結果に収まります。こうした奇妙に見える規則が、半導体・レーザー・MRIなど現代技術の基盤となっています」。
