『死んだら無になる』は、哲学書ではなかった!・・・【情熱的読書人間のないしょ話(3927)】
【読書の森 2025年12月21日号】
情熱的読書人間のないしょ話(3927)











タイトルから哲学的な著作だろうと思って手にした『死んだら無になる』(西村亨著、筑摩書房)は、40歳を目前にした独り身で、物事を悲観的にしか捉えられず、自分は人生に不向きであることを思い知った「私」の繰り言が延々と続く小説でした。
「死にたいという思いは常に持っていた。今すぐ楽に死ねて天国に行けるボタンがあったら迷わず押すのに,無いから仕方なく生きているだけだった」。
「一度職場にふいに現われた同郷の若い女性客に食事に誘われたことがあったが、結局はそれもネットワークビジネスの勧誘だった」。
世の中には、こういう作品が存在してもいいと、私は考えています。
個人的なことだが、東京の高円寺に越して来て1年、職場は隣の阿佐ヶ谷の温浴施設内にあるマッサージルームという「私」に、阿佐ヶ谷の隣の荻窪育ちの私は、妙に親近感を覚えてしまいました。
