榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

MRになりたいという、あなたの気持ちは本物ですか・・・【あなたの人生が最高に輝く時(3)】

【MR・メディカル専門職の転職 2011年8月8日号】 あなたの人生が最高に輝く時(3)

MRへの3つの道

「MR(医薬情報担当者)になりたいのですが・・・」という相談を受けることが多いが、そのときは、「あなたは、本気でMRになりたいのですか?」と問い返すことにしている。最近は、業界外でもMRという業種の知名度が上がり、MRになりたいという男女が増えている。

どうすれば、MRになれるのか。第1の道は、新卒で製薬企業に入社するコース。第2の道は、他の業界で営業経験を積み、製薬企業に中途(キャリア)入社するコース。第3の道は、他の業界で営業経験を積み、CSO(MR業務受託・派遣業)に入社するコース。第1~第3のいずれも、特に薬学部卒業でなくとも、その企業の要件を満たせばよい。

第2の道は、ごく一部の製薬企業がMR未経験者も募集するケースがあるが、即戦力としての活躍を期待して、中途入社の要件にMR経験を挙げる製薬企業がほとんどのため、MR未経験者は第3の道を選択するケースが多い。

どの製薬企業を狙うか、どのCSOを狙うかは、各社のホームページなどで調べ、比較検討の上、応募することになるが、エージェント(人材紹介会社)を通じて、より広範な、より詳細な情報を入手することも可能だ。エージェントは求職者には費用を請求せず、採用が成立した時点で、求人側の製薬企業、CSOから人材紹介料を受け取る仕組みになっているので、必要に応じ、エージェントを上手に活用するのも一法である。

エージェントの活用法

どのエージェントを選択するか。各社のホームページなどで調べ、比較検討することになるが、そのエージェントがMRという業種に力を入れているか否かが選択基準の重要なポイントとなるだろう。

中堅以上のエージェントには、求職者と面談して、相談に乗ってくれるキャリア・アドヴァイザー(会社により呼称が異なる)と、製薬企業、CSOにその求職者を紹介する役割のリクルーティング・アドヴァイザー(会社により呼称が異なる)がいる。このキャリア・アドヴァイザーは、あなたが新たな人生を見つける上で、強力な協力者になってくれる可能性が高いので、見栄を張らず、率直に自分の実情や希望を伝えるようにしよう。

恋人の父親の猛反対

MR経験のないY君が、エージェントのキャリア・アドヴァイザーから「このCSOは、今はまだ小さいが、社長が熱く、MRを育てることに熱心な会社だから」と勧められ、当社に応募してきたのは、30歳の時のことであった。

ノックをして緊張気味な顔で面接室に入ってきたY君の履歴書、職務経歴書、適性試験結果、筆記試験成績、エージェントからの推薦状、キャリア・シートを見て、びっくりしたのは、なぜか。

何と、そのキャリア・シートの年収欄には、1000万円を大きく超える金額が書かれていたのである。そこで、私は尋ねた。「このような高収入を得ているあなたが、現在の会社を退職してまでMRになりたいというのには、何かよほどの理由があるのですか?」と。

Y君は、少し恥ずかしそうに、「実は、私にはお互いに結婚したいと思っている恋人がいます。先日、彼女の両親に結婚の許可をもらいに行ったところ、彼女のお父さんから『君がいい奴だということは、娘から聞いて分かっている。しかし、大切な娘を君にやるわけにはいかん! 相当、収入があるようだが、君のように月により収入に大幅なアップ・ダウンがある男にはやれない』と言われてしまいました。そこで、年収がダウンしようと、毎月の収入が安定していて、その上、単なる営業でなく、キャリア・アップが可能なMRを目指すことにしたのです」と答えた。すなわち、Y君は、「土地活用の営業での高収入」を投げ捨て、「MRになって、好きな女性と結婚する」道を決然と選んだのである。

4カ月後に、Y君から喜びに溢れた「結婚報告書」が届き、それから1年後には、愛くるしい愛児の写真が同封された「出生報告書」が送られてきた。現在、Y君は、大切な家族のために、日々、MR活動に真剣に取り組み、見事な実績を上げている。