榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり・・・【ことばのオアシス(4)】

【薬事日報 2009年6月22日号】 ことばのオアシス(4)

祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり

――平家物語

祇園精舎(ぎおんしょうじゃ)の鐘の声(こえ)、諸行(しょぎょう)無常の響きあり。娑羅双樹(しゃらそうじゅ)の花の色、盛者必哀(じょうしゃひっすい)の理(ことわり)をあらは(わ)す。おごれる人も久しからず、唯(ただ)春の夜(よ)の夢のごとし。たけき者も遂にはほろびぬ、偏(ひとえ)に風の前の塵に同じ。

この冒頭部分に「平家物語」全体の「この世の全てのものは常に変化・生滅し、永久不変なものはない」というテーマが凝縮している。琵琶法師たちによって語り継がれてきたことに思いを馳せ、声に出すとリズムが心地よい。