榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

読み聞かせを続けてきた私がこれまで出会ったことのない絵本・・・【情熱的読書人間のないしょ話(976)】

【amazon 『ガルマンの夏』 カスタマーレビュー 2017年12月24日】 情熱的読書人間のないしょ話(576)

あちこちの店頭にハボタンが並ぶと年の瀬を感じます。ルクリア・ピンセアナ(アッサムニオイザクラ)の薄桃色の花が芳香を漂わせています。最寄り駅前の広場に仮説のスケート・リンクが設置されました。ヒヨドリが鳴いています。我が家の樹上の巣に、再びキジバトの番がやって来ました。因みに、本日の歩数は10,014でした。

閑話休題、『ガルマンの夏』(スティアン・ホーレ絵・文、小柳隆之訳、三元社)は、読み聞かせを続けてきた私がこれまで出会ったことのない、何とも風変わりな絵本です。

何がそんなに風変わりかというと、第1は、不安がテーマになっていることです。小学校入学を控えて不安を感じる主人公・ガルマンは、自宅に訪ねてきた不思議な3人の老女やパパ、ママたちに、「不安はある?」、「おばさんはなにが不安?」、「パパはなにか不安なことある?」、「ママはなにか不安なことがある?」と尋ねます。そして、物語の最後は、「学校がはじまるまであと13時間。やっぱりガルマンは不安です」と結ばれています。

第2は、老女たちや、ガルマンと同じように1年生になる双子の女の子たちの顔が実にリアルに描かれていることです。

第3は、文章も絵に負けずにリアルに表現されていることです。「おばさんたちの歯は一本のこらずぬけてしまっていました。だから総入れ歯です。・・・ルートおばさんとアウグスタおばさんは水のはいったじぶんのコップに入れ歯を沈めています」。「おばさんはもうすぐ死んじゃうの?」。「死んだら、北斗七星の馬車にのって空を旅するんだ、とガルマンは思います。でもそのまえにミミズといっしょに埋められて、土に還らなければなりません」。「おばさんたちに残された時間はあまりありません。でも生きてきた時間ならたっぷりあります」。「おばさんたちはやがて天国に旅立つでしょう」。

本当に、何とも摩訶不思議な絵本です。