榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

哺乳類の祖先がこれほど生々しい姿で登場する図説は初めてだ・・・【情熱的読書人間のないしょ話(1270)】

【amazon 『羽毛恐竜と巨大昆虫』 カスタマーレビュー 2018年10月16日】 情熱的読書人間のないしょ話(1270)

私の一番好きな野鳥はオナガです。このところ、何度か遭遇しながら撮影は失敗続きだったが、今日はバッチリ、カメラに収めることができました。高木を見上げながら、女房が巣があるのじゃないかしらと言ったことを裏付けるように、たくさんの雛の甲高い鳴き声が聞こえてきます。成鳥、若鳥合わせて20羽ほどがギューイギュイギュイと鳴き交わしながら飛び回っています。観察に夢中になってしまい、気がついたら、1時間近くが経過していました。因みに、本日の歩数は14,755でした。

閑話休題、『羽毛恐竜と巨大昆虫――スーパービジュアル再現 7つの謎で解き明かす太古の世界』(マリー・ステルブ、ジャン・セバスティアン・ステイエ、ベルトラン・ロワイエ、エマ・ボー著、竹花秀春、ジャンクリストフ・エラリー訳、福井県立大学恐竜学研究所日本語版監修、日経ナショナル ジオグラフィック社)では、3億5900万年前の古生代石炭紀から6600万年前の中生代白亜紀末までの生物の生態が精細なCGでリアルに再現されています。

とりわけ私の興味を掻き立てたのは、「恐竜時代の最初の哺乳類はどんな姿をしていたのか?」というテーマです。

先ず、「恐竜のごちそう」として、恐竜に捕まり、悲鳴を上げているチャンヘオテリウムの画像が目に飛び込んできます。「全長が16cmしかない小型哺乳類が全長1mを超える恐竜から逃げられるチャンスはないに等しい」。しかし、「一見したところまったく無害な哺乳類のようだが、強力な毒を持つトゲを武器としていたらしい」。

「授乳するチャンヘオテリウム――メスに乳腺があることが哺乳類と定義される特徴の一つだ」。実際に授乳シーンを目撃した気分になってしまいました。

「木登りの達人――エオマイアは木登りができる現生哺乳類と同じく、手の指が長い。リスのように木の幹を登ったり降りたりできたのかもしれない」。木から降りて水辺に近づくエオマイアの画像は臨場感に溢れています。

「現在知られている最古の真獣類――1億6000万年前に生息し、長い鼻が特徴のジュラマイア・シネンシス」は、やや大きなネズミといった姿をしています。「体重は15~17g、樹上で暮らし、昆虫を餌にしていた」。

現在のオオカミのように集団で狩りをするレペノマムス・ロブストゥスの画像は迫力があります。「レペノマムスの(胃に恐竜の子の骨が見つかった)珍しい標本は、我々が太古の哺乳類に抱いていたイメージを覆した。体重が4~6kgのレペノマムス・ロブストゥスが恐竜の子を食べていたのなら、もっと体の大きなレペノマムス・ギガンティクスが大人の恐竜を襲っていたことは容易に想像できる」。

「飛行中――ボラティコテリウムは、現在のムササビのように、四肢の間に伸びる皮膚の膜(翼膜)を広げて滑空できた。この化石の発見によって、飛行できる哺乳類の出現時期が7000万年以上早まった」。

「恐竜の時代においても哺乳類の多様化はかなり進んでいた。有胎盤類と有袋類の分岐もずいぶん早く、生態学的多様性は想像以上に進んでいた。泳ぎに特化したもの、滑空できるもの、毒を持っていたかもしれないもの、大型のもの、されには恐竜を食べていたものさえいた。『体毛が生えた獣』(=哺乳類)の進化は我々を驚かせてやまない」。

「鳥類はどうして生き残れたのか?」というのも、見逃せないテーマです。「ここ15年間の発見から一つの事実が明らかになった。白亜紀末の大量絶滅を生き延びた恐竜がいたのだ。それは鳥類だ。この小さな恐竜は他の仲間が絶滅したのに、どうして生き延びることができたのだろうか」。

その命運を分けたのは「歯」だったというのです。「科学者たちの探求の結果、大きな違いが見つかった。新鳥類は他の近縁種と異なり、くちばしに歯が生えていなかったのだ」。

「歯を持たないことがどうして大量絶滅の時代に有利に働くのだろうか。この仮説は歯の形状と食べるものには関係があるという事実に基づいている。肉を食べる動物の歯は先が鋭く尖っていて、植物を食べる動物の歯は大きく平ら、齧歯類には巨大な切歯がある。そして鳥類の歯のないくちばしが何を食べるのに便利かといえば、それは種子だ。恐竜として唯一、白亜紀末の大量絶滅を生き延びた新鳥類も種子を食べる穀食性だった。これこそが生き残れなかった他の近縁種との違いだ。種子は森や草原が失われたあとも土の中に何十年間、あるいはそれ以上にわたって腐らずに残り続ける。この現象は森林火災の被害を受けた場所で、現在でも見受けられる。火災が収まった後、焦土になったところに真っ先にすみつく動物はやはり穀食動物だ。しかも種子の中には相当な高温にさらされないと発芽しないものさえあり、そうしたものは火災の後でも食料になる。こうした事実を考え合わせると、新鳥類が大量絶滅の最中からその後まで、種子をついばんで命をつないでいたのは明らかだ」。同様に、哺乳類の多くが昆虫や種子を食べていたことが、哺乳類に幸いしたのです。

太古の恐竜や昆虫について詳しい本は数多く出版されているが、我々に関係の深い哺乳類の祖先がこれほど生々しい姿で登場する図説は初めてです。