榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

自分にとって大切な人にだけ承認してもらえればいいのだ・・・【MRのための読書論(117)】

【Monthlyミクス 2015年9月号】 MRのための読書論(117)

幸せな人、不幸せな人

あなたがなりうる最高のあなたになる方法』(ジェリー・ミンチントン著、弓場隆訳、ディスカヴァー・トゥエンティワン)から、これほど多くの気づきを与えられるとは、正直思っていなかった。

「世の中には二種類の人が存在します。一方は、『幸せになるのはいいことだ』と考える人。もう一方は、『人生はつらくて苦しみに満ちている』と考える人です。前者は、幸せな人生を送り、後者は、つらく苦しみに満ちた人生を送ります。幸せな人と不幸せな人が、同じ状況の下におかれると、正反対の態度をとります。幸せな人はチャンスに目を向けますが、不幸せな人は障害に目を向けます。幸せな人は、『どうすればこの状況からいいことを見つけられるか』と考えますが、不幸せな人は、『なぜ、このわたしがこんな目にあわなければならないのだ』と愚痴をこぼします。幸せな人は、大らかで柔軟性がありますから、人生のさまざまな問題にうまく適応してピンチを乗り切ることができます。不幸せな人は、せっかく素晴らしいことが起きていても、常に最悪の事態になることを予想するくせがついているので、そのチャンスを生かすことができません」。だったら、幸せな人にならなくちゃ損じゃないか。

心の平和を得る秘訣が挙げられている。①不快な感情や思考が起こったら、それを止める、②他者をあるがままに受け入れる、③他者に共感する、④生活をシンプルにする、⑤自己中心的ではなく他者を中心に物事を考える――の5つだ。

また、こんなことも言っている。「楽観主義のススメ――悲観主義者のままでいなければならない義務はないということです」。「『完全(主義)』より『ほぼ完全』――わたしたちは不完全な世の中に生きている不完全な存在です。『ほぼ完全』でいいじゃないですか」。

他人から好かれる、嫌われる

私の心に一番強く響いたのは、「『人からどう思われるか』よりも大切なこと」である。「●自分にとって大切な人にだけ承認してもらえればいい。極端に言えば、生活に支障をきたさないかぎり、それ以外の人に承認してもらう必要はないはずです。●だれからも好かれる必要はないし、いずれにしてもそれは不可能です。どれだけ努力しても、好いてくれない人は必ず現れます。そして当然のことながら、たとえあなたのことを好きでない人がいても、あなたは快適に生きていけるのです。●あなたも、すべての人を好きになる必要はありません。世の中には実にいろいろな人がいて、その中には、あなたが好きになるだけの価値がない人もいるのです。●自分の気分を人任せにしてはいけません。人に承認してもらってはじめて気分よく生きていけるとすると、人の顔色ばかりうかがわなければならなくなります」。この言葉に若い時に出会っていたら、もっと楽に生きられたのに。

どうしても許せない奴

どうしても許せない奴がいるとき、どうすればいいのか。「あなたを傷つけた人が、それを悔やんでつらい人生を送っていると思いますか? もちろん、なかにはそういう人もいるでしょう。けれども、そんなことには思いも馳せずに楽しく生きている可能性のほうがずっと高いと思います。その一方で、あなたはずっと心にしこりをかかえ、相手を恨み、苦しみながら生きている・・・あまりにも理不尽なことだと思いませんか? 相手を許しましょう。そこで癒やされるのは、あなたの心の傷だけではありません。からだにも確実にいい影響を与えます。わたしたちのからだを外敵から守っている免疫機能を低下させる三つの感情――怒り、恨み、憎しみから解放されるのですから」。この言葉にも、もう少し早く出会いたかったなあ。

目標をかなえる方法

「目標をかなえる方法」として、7つのステップが示されている。「①自分にとって大きな意味を持つ具体的で現実的な目標を選ぶ。②それを達成する決意をする。③それを達成するために必要なプロセスを把握する。④そのプロセスの一つひとつをうまく実現していく計画を立てる。⑤目標に向かって努力している人たちと交流する。⑥最後まで目標に意識を集中する。⑦目標を達成したらお祝いする!」。