榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

年をとるほど、女性は美しくなるというのは本当か・・・【続・リーダーのための読書論(63)】

【ほぼ日刊メディカルビジネス情報源 2016年3月17日号】 続・リーダーのための読書論(63)

女はボルドーワイン

フランス人は年をとるほど美しい』(ドラ・トーザン著、大和書房)は、「女はボルドーワインと同じ。時間を経て美味しくなる」と断言している。「ボルドーワインはつくられた時から、15年、20年という歳月をかけ、熟成し、複雑になり、そしてまろやかにその味わいと色を変えて、まるでビジュー(宝石)のように美しく、その価値を高める」からだというのだ。さらに、「『まるでボルドーワインのような女性だ』というのは、フランスでは最高の褒め言葉。日本人の読者の皆さんは信じられないかもしれないけど、本当に、フランスでは正しく年を重ねた女性が美しいとされ、モテる」のだそうだ。

著者は生粋のパリジェンヌで、20年以上前から東京に住み、現在はパリと東京・神楽坂を行き来しながら、執筆や講演活動を行っている。著者は、日本人女性は年齢を気にし過ぎと指摘する。一方、フランス人女性は年をとればとるほど美しくなると考える。「それは成熟するから。人間の美しさは肌のハリやツヤ、シワやシミの数、お腹回りについた脂肪では計り知れないものがあるのです。ワインと同じように、フレッシュなだけでは味わえない『深み』こそが、女に与えられた最高の美。だから、フランス人は年齢のことをまったく気にしません」。

正しく年をとる

年を重ねることは決してネガティヴなことではないと、著者は言う。「正しく年をとれば、どんどん成熟し、自信に満ち溢れ、美しくなれるのですから」。どうすれば、正しく年をとれるのだろう。「簡単よ。自由に生きる。自分らしく生きる。我慢しない。わがままになる。いつまでも女であり続ける。美味しいものを食べる。アムール(愛)を忘れない。たったこれだけ」。

「やはり好きなことを存分に楽しむというのは、今を生きることにつながるのです。そういう人は、年をとってなお、ますます輝きます。・・・自分に似合うモノ、似合う人、似合う仕事が分かり、肩肘張らずにラクな気持ちで生きていけるのです。自分らしく生きていけるから、年を重ねるほど、人生はますます楽しくなる! わたしはそれを確信しています」。

「年を重ねて経験を積むと、智恵がつきます。知恵がつくほど生きるのがラクになり、楽しくなります」。経験が多いほど、美しく年をとることができる。その経験を与えてくれるのは、好奇心だというのである。失敗を恐れず、トライしてみることが経験に繋がる。

「わたしの言うわがままは、自己中心的な振る舞いではなく、自分らしく生きるための、ちょっとした自己主張の方法。妻としてでも、ママとしてでもなく、一人の女性として、一人の人間として、『何がしたいか』『どう生きたいか』を考えます。それがはっきりしているから、わがままを言える」。

「日本人は、他人からどう見られるかという『世間の目』をとても気にします。でも、大切なのは自分。フランスでは個人の幸せを尊重します。他人に気に入られる人生ではなく、自分が気に入る人生とは何か考えてみるのです」。

「フランス人はうらやましいなんて言いません。なぜなら、ほんとうにうらやましいなんて思わないから。彼女は美人、彼女はお金持ち、彼女は結婚している。ただそれだけです。他人が美人だろうが、お金持ちだろうが、関係ないのです。『うらやましい』を連発していたら、たちまち自信がなくなり、幸せから遠ざかってしまいそうです」。

フランス人は、お金がなくても幸せに生きていけると知っているのだ。本書は女性に向かって書かれているが、男性にも生きる上でのヒントを与えてくれる。