たった一人でヒトラー暗殺を実行した家具職人がいた・・・【情熱的読書人間のないしょ話(639)】
千葉・流山の図書館での読み聞かせヴォランティアで『ゆきじぞう』を読みました。図書館の隣の東深井古墳群は、古墳時代後期の古墳12基が保存されていて、当時の有力者たちの権勢が偲ばれます。因みに、本日の歩数は10,095でした。
閑話休題、映画『ヒトラー暗殺、13分の誤算』(DVD『ヒトラー暗殺、13分の誤算』<オリヴァー・ヒルシュビーゲル監督、クリスティアン・フリーデル、カタリーナ・シュットラー、ブルクハルト・クラウスナー、ヨハン・フォン・ビュロー出演、ギャガ)は、アドルフ・ヒトラー暗殺未遂事件を一人で実行した実在の人物、ヨハン・ゲオルク・エルザーの実話に基づいています。
この作品から、3つのことを教えられました。
第1は、1939年という早い時期に、ヒトラー暗殺を試みたエルザーという人物がいたということ。
第2は、エルザーがたった一人で暗殺を計画し、一人で実行したということ。しかも、その時限爆弾は威力十分で、ヒトラーが演説会場を予定より13分早く去っていなかったら、見事に成功していただろうこと。
第3は、ヒトラーの演説を初めとするナチスの巧妙なプロパガンダがいとも簡単に人心を掌握していったということ。そして、同様のことは、いつの時代にも、どの国でも起こり得るということ。
映画では、エルザーが逮捕され、この事件の黒幕には英国がいるに違いないと思い込んだヒトラーの命を受けた忠実な部下たちから凄惨な拷問を受けるシーンと、音楽好きな平凡な家具職人、36歳のエルザーの過去の生活が交互に描かれ、エルザーがなぜ暗殺を実行するに至ったかが明らかにされていきます。
この作品を見終わってから、2つの疑問が残りました。
1つは、エルザーが事件後、5年間も監獄で生かされ、ナチスの敗色が濃くなった時点で処刑されたのはなぜか。私は、この暗殺事件の黒幕は英国に違いないと睨んだヒトラーが、チャンスが来たら対英国外交に対するカードとしてエルザーを使おうとしていたのではないかと推測しています。
もう1つの疑問は、ドイツ政府が戦後長きに亘り、エルザーのことを隠し続けたのはなぜか。私は、第二次世界大戦後の冷戦時代、西ドイツは、共産主義に共感を寄せていたエルザーを対ヒトラーの英雄として称揚したくなかったのではないか、一方の東ドイツは、ナチスを破った最大の功績はソ連にあると見做していたため、わざわざエルザーにスポットを当てる必要性を感じなかったのではないか――と考えています。
この映画を見るまで、エルザーという人物の存在を知らなかった自分を恥ずかしく思っています。