たのしみはそぞろ読(よみ)ゆく書(ふみ)の中(うち)に我とひとしき人をみし時・・・【ことばのオアシス(38)】
【薬事日報 2010年7月14日号】
ことばのオアシス(38)
たのしみはそぞろ読(よみ)ゆく書(ふみ)の中(うち)に我とひとしき人をみし時
――橘 曙覧
幕末の歌人・国学者、橘 曙覧(たちばなのあけみ)の歌集『独楽吟(どくらくぎん)』に収められた52首の中で、私の一番好きな和歌。
「たのしみは艸(くさ)のいほ(お)りの莚(むしろ)敷(しき)ひとりこころを静めを(お)るとき」、「たのしみは妻子(めこ)むつまじくうちつどひ(い)頭(かしら)ならべて物をくふ(う)時」や、ビル・クリントン大統領がスピーチに引用した「たのしみは朝おきいでて昨日まで無(なか)りし花の咲ける見る時」のように、曙覧は貧しい生活の中でも楽しみを見出す名人。
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