榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

大航海時代から現在に至るオランダの歴史がすっきり頭に入ってくる・・・【情熱的読書人間のないしょ話(823)】

【amazon 『物語 オランダの歴史』 カスタマーレビュー 2017年7月24日】 情熱的読書人間のないしょ話(823)

散策中に、クマバチ(キムネクマバチ)を見つけました。あちこちで、オニユリが橙色の花を咲かせています。カノコユリは赤色の花を咲かせています。青色のツユクサが涼しげです。ナスが実っています。サトイモが元気に葉を成長させています。カキが緑色の実を付けています。我が家の庭には、しょっちゅうヤマトシジミがやって来ます。雌の表翅は黒色です。白かったキキョウの花がほんのりと薄紫色を帯びてきました。因みに、本日の歩数は10,415でした。

閑話休題、『物語 オランダの歴史――大航海時代から「寛容」国家の現代まで』(桜田美津夫著、中公新書)を読めば、大航海時代から現在に至るまでのオランダの激動の歴史がすっきり頭に入ってきます。

私個人として最も印象深いのは、アンネ・フランクに関する記述です。

「容赦ない『ユダヤ人狩り』を免れる最後の手段は、信頼できるオランダ人協力者に隠れ家を提供してもらい、そこに身を潜めることであった。オットー・フランクの一家もこの道を選んだ。1942年7月6日のことである。事が発覚した場合には匿ったオランダ人も厳罰に処せられるため、支援する側も命がけであった」。

「アンネは、イギリスからのラジオ放送や身近な協力者の話を通じて戦況も把握していた。日記のなかには『<本日はDデーなり>きょう12時、このような声明がイギリスのラジオを通じて正されました』(1944年6月6日)とか、『すばらしいニュース! ヒトラー暗殺が計画されました』(同年7月21日)といった記述も見える」。

「ノルマンジー上陸作戦の成功後、連合軍によってドイツ占領地が次々に解放されると、アンネら隠れ家の住人たちの救出への期待も高まった。しかし1944年8月4日、何者かの密告によって、あるいは別件捜査の際偶然に、この隠れ家が突き止められ、アンネとその家族を含む8人のユダヤ人たちは官憲によって連行されてしまう」。

「オットー・フランクが経営する会社の女性社員で支援者の1人ミープ・ヒース(1909~2010)の回想記によれば、アンネたちが連れ去られた直後、隠れ家に入ってみると室内は『めちゃめちゃに荒らされて』おり、アンネの両親の寝室の床では『乱雑にほうりだされた書物の山のなかに、赤とオレンジ色の格子縞の、布表紙の日記帳が落ちているのが目にとまった』という。隠れ家が露見し、せきたてられて部屋を出ていく際、アンネの日記帳やその続きのメモ類は、混乱に紛れて偶然置き去りにされたものと考えられる。証拠隠滅と取られかねない危険な行為であったが、ミープらはこれら日記類を拾い集め、戦後、8人のなかでただ1人生き残ったオットー・フランクに渡したのである」。

「こうして、オランダ全土が解放されるまでにはもう一冬待たねばならなくなったのである」。