中世ヨーロッパの働く人々の生き生きとした仕事ぶりが愉しめる図絵集・・・【情熱的読書人間のないしょ話(857)】
ギンヤンマの鮮明な写真を撮りたくて、ここ数日間、小さな沼の近くの縄張りに出かけていますが、残念ながら失敗続きです。アキアカネを今シーズン初めて見ました。シオカラトンボの雄と雌(=ムギワラトンボとも呼ばれる)がたくさん飛び回っています。アゲハチョウ、イチモンジセセリを見かけました。大きなクロオオアリを見つけました。ウスバカゲロウの幼虫・アリジゴクの巣がたくさんあります。セミの幼虫が出ていった穴が開いています。因みに、本日の歩数は10,408でした。
閑話休題、『中世仕事図絵――ヨーロッパ、<働く人びと>の原風景』(ヴァーツラフ・フサ編著、藤井真生訳、八坂書房)は、中世のチェコスロヴァキアの働く人々の図絵集です。
「耕夫、刈入れ人、ワイン醸造人、樵(きこり)、炭焼き、大工、石工、陶工、肉屋、鍛冶屋、ガラス職人、鉱夫、製鉄工、貨幣鋳造師、印刷工、そのほか多くの職人。本書において読者は、彼らに加えて、御者、荷馬車御者、商人、小売商、さらには写字生、画家、測量技師、そして学生、医師、天文学者にも出会うだろう」。
例えば、「塔の建設」という絵画は、このように説明されています。「高いゴシック建設の技術は称賛されるべきものだった。他の多くの者と同じように、この画家もその建設風景にバベルの塔のビジョンを描き出している。垂直に物資を運搬する一般的な方法は、まず手で運ぶことだった。一方、非常に高いところまで重い石材を運び上げる必要もある。その場合、手動巻き上げ機はあまり効率的ではないため、ここでは大きな足踏み車が描かれている。14世紀には、手動巻上げ機に代わってこの足踏み車を、城の深い井戸で、のちには鉱山でも目にするようになる。壁に渡された梁の上に乗り、側板をこえてそびえているゴシック建築の現場は、中世の細密画からしかイメージすることができない。煉瓦工が作業できるかぎり、足場は上へ上へと移されていった。建築をモチーフとした図像ではさまざまなタイプの足場が現れる」。
本書はかなりマニアックな図絵集ですが、中世ヨーロッパの働く人々の生き生きとした仕事ぶりは、私たちも十分に愉しむことができます。