榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

アスペルガー症候群を含む発達障害に対する知識と、励ましを与えてくれる一冊・・・【情熱的読書人間のないしょ話(1230)】

【amazon 『天才と発達障害』 カスタマーレビュー 2018年9月5日】 情熱的読書人間のないしょ話(1230)

散策中に、ある高木の下に黄土色の実が落ちているのを見つけました。1つを持って帰り、いろいろ調べたのですが、何の実か分かりません。そこで割ってみたのですが、出て来た種子を見て、これは栃の実よと女房が声を上げました。漸く、トチノキの実と判明した次第です。キリが黄色い実と熟した黒ずんだ実を付けています。サルスベリが赤い実を付けています。因みに、本日の歩数は15,022でした。

閑話休題、『天才と発達障害――映像思考のガウディと相貌失認のルイス・キャロル』(岡南著、講談社)は、読み始めてから最後のページまで、驚きの連続でした。

驚きの第1は、アスペルガー症候群を含む発達種害には、大きく分けて2つのタイプがあるということです。一つは、言語的認知が不得手で視覚優位の映像思考が得意なタイプ、もう一つは、映像的認知が不得手で聴覚優位の言語思考が得意なタイプです。著者は自分は映像思考型人間だとして、その体験・実態が生々しく描写されています。

驚きの第2は、発達障害者は、不得手な分野では問題が生じることがあるが、得意分野では天才的な輝きを示すケースが多いということです。映像思考型の天才の代表として、アントニオ・ガウディとチャールズ・ダーウィンの事例が詳しく記されています。言語思考型の天才としては、ルイス・キャロルが挙げられています。

驚きの第3は、発達障害者に対しては、自分の得意分野で勝負することを勧め、発達障害者に接する人たちには、発達障害のタイプを理解した上で、本人が得意分野で活躍できるよう援助することを提案していることです。

本書は、発達障害者、ならびに、その家族、教育者たちの発達障害に対する理解を深め、彼らに励ましを与える一冊と言えるでしょう。