歌川広重の江戸と現代の東京を繋ぐ、工夫が凝らされたガイドブック・・・【情熱的読書人間のないしょ話(1600)】
東京・文京の小石川後楽園では、下向きに咲く薄紫色のレンゲショウマの花と、稲田を守る水戸黄門の案山子が迎えてくれました。その後、神楽坂を散策し、夕食会でイーピーエス時代の仲間たちと楽しい一時を過ごしました。因みに、本日の歩数は25,746でした。
閑話休題、『新江戸百景めぐり――TOKYOで「江戸」を再発見』(大石学監修、江戸文化歴史検定協会編、小学館)は、なかなかの優れ物です。
歌川広重の『名所江戸百景』と現代の東京の風景が並んで掲載されているので、その変化を楽しむことができます。例えば、日本橋三越本店と三井住友銀行に挟まれた江戸桜通りを描いた広重の「東都名所 駿河町之図」では、通りの奥に富士山が雄姿を見せています。
行ったことはあるが、そこまでは気がつかなかったということが意外に多いことに驚きました。例えば、私が季節ごとに訪れる小石川後楽園内の赤く塗られた通天橋が、紅葉の名所とされる京都・東福寺の渓谷に架かっている通天教を模したものとは知りませんでした。
そういう歴史的背景があったのかという気づきもあります。例えば、新宿御苑内に整備されている散策路を何度も歩いていながら、そこが玉川上水に沿って流れていた内藤新宿分水だとは、ついぞ知りませんでした。
これは、ぜひとも訪れなくてはと思った場所がいくつか見つかりました。例えば、かつて勤めていた会社近くに小伝馬町牢屋敷展示館があるとは知りませんでした。近いうちに行ってみます。
冬季の肥後細川庭園に行ったみたくなりました。「細川庭園には雪見灯籠がある。台地の斜面を利用した庭園は、しみじみと冬景色を味わう雪見に向いている」。隣に細川家縁(ゆかり)の永青文庫があると書かれています。
実際には訪問できないケースであっても、紙上遊覧が楽しめる、工夫が凝らされたガイドブックです。