榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

カラスは、小学校低学年の人間と同じように三段論法で思考している・・・【情熱的読書人間のないしょ話(2247)】

【読書クラブ 本好きですか? 2021年6月7日号】 情熱的読書人間のないしょ話(2247)

ショウジョウトンボの雄(写真1、2)、コフキトンボの雌のオビ型タイプ(写真3)、コシアキトンボの雄(写真4、5)、ウチワヤンマ(写真6、7)、キマダラセセリ(写真8)をカメラに収めました。アリウム・ギガンテウム(写真9)が咲いています。裏庭で草むしりをしていた我が家の庭師(女房)が、ホタルブクロ(写真10)を見つけたと知らせにきました。コクチナシ(写真11、12)が開花しました。因みに、本日の歩数は14,247でした。

閑話休題、『もっとディープに! カラス学――体と心の不思議にせまる』(杉田昭栄著、緑書房)を読んで、カラスの賢さを再認識しました。道具を作る・使うカレドニアガラスやハワイガラスの例だけでなく、私たちがよく目にするハシブトガラスやハシボソガラスの高次脳機能が、著者らの実験で検証されているからです。

「(著者らの実験の)検証からも、また筆者の日常の飼育経験からも、カラスには個人を弁別する力はあると考えています」。

「(ワシントン大学の研究で明らかになったように)カラスは、個体弁別はもちろんのこと、学習した経験と関連付けて個々を認識していたのです」。

「(著者らの実験から)カラスは(人間の)写真を一枚一枚丸ごと暗記して弁別情報にしているのではなく、それぞれの写真から共通の特徴を切り抜き、概念形成に使っていることが考えられます。さらに、最初に見た写真の情報が一部欠けていても弁別できました。この場合、頭の中で元の写真を再現させて弁別できているのか、類似形として比較の結果で判断しているのかわからないのですが、情報を抽象化する思考過程がありそうです。・・・カラスは弁別するための共通性や非共通性を見出す生き物なのだと、つぐづく思い知らされます」。カラスは図形や人の顔写真の違いを弁別し、いくつかの共通要素を見出して概念的なまとめ方ができるというのです。

「カラスにおいても色覚はもちろんのこと、顔の輪郭などを総合的に捉えて顔写真を弁別していると考えられます。筆者が行った実験では、輪郭だけでは弁別できないこと、色彩情報も弁別には必須であることが明らかになりました」。

「(著者らの実験の)結果、少なくとも数の大小の判断はできることがわかりました」。

「(カラスは)色のAという要素、ドッグフード数というBの要素、色とドッグフードの量を組み合わせたCという結果を理解したのです。算数ができるかどうかはわかりませんが、量の概念はありそうです。また、この実験からわかることは、カラスが紙風船の色とドッグフードの数を組み合わせて判断しているということです。初歩的なことですが、カラスは三段論法的な知能行動を行っているのだといえます。人間でも7歳くらいからこの三段論法的思考ができるようになるといわれます。逆に考えれば、カラスも生きるための能力としては、小学校低学年くらいの思考能力が備わっていると考えてもいいのかもしれません」。カラスは弁別能力や学習能力が高く、その能力を用いて、自然の中で逞しく強かに生を営んでいるのです。

「(著者らの)実験により、カラスは少なくとも12カ月間は記憶を保つことができることを証明したのです」。

カラスが他のカラスの行動を観察して学ぶこと、人間の行動からも学ぶことが、著者らの実験で確かめられています。「人間が見せても観察学習は成立するようでした。このことを考えると、滑り台を滑る、水道の蛇口をひねるといった行動は、人間の仕草を真似たのかもしれません。他種の動物の行為を自らの生命維持に価値あるものとして取り込む知能は驚きに価します」。