榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

あらゆる人生は不確実性という大海を航海すること・・・【情熱的読書人間のないしょ話(2655)】

【読書クラブ 本好きですか? 2022年7月24日号】 情熱的読書人間のないしょ話(2655)

アメリカフヨウ(写真1~6)、ハス(写真7~15)が咲いています。

閑話休題、『百歳の哲学者が語る人生のこと』(エドガール・モラン著、澤田直訳、河出書房新社)は、100年間、強かに生き抜いてきた哲学者の言葉だけに説得力があります。

とりわけ、「あらゆる人生は不確実性という大海を航海すること」、「誤りを過小評価するという誤り」、「常識なり自明だと思われることについても驚き、問い直すこと。つまり、問題意識を持つこと」、「思いやりを持つことで、他者の欠点や欠陥だけでなく、意図や行為における長所をも見ることができる」――が、強く印象に残りました。

【不確実性のうちで生きる】
●生きるとは、不確かな大洋を航海することだ。ときどき確かな島々で食料や物資を補給しながら。
●予期せぬ事態を予期せよ。
●人間は善でも悪でもない、複雑で移り気なものだ。
●目先のものに囚われるとき、精神は偏流する。
●リスクを全面的に排除しようとすれば、人生を全面的に排除することになる。
●希望とは希望し得ぬものを待つことである。

【精神衛生】
●憎悪を持たぬ者は、狂気を免れる。
●告発によってではなく、論証によって論破すべきである。
●あらゆることに答える教義よりも、あらゆることに問いを立てる複雑性を選ぶこと。
●よく老いるためには、自分のうちに子どもの好奇心と、思春期の渇望と、大人の責任を保たなければならない。そして老いのうちで、それまでのさまざまな時期にした経験を抽出しようと試みなければならない。
●私は絶えず、人間性のうちに残酷で、苛酷で、無慈悲なものがあること、人生のうちには恐ろしいものがあることを見てきたし、人間性のうちには高貴なもの、寛大なもの、善良なものがあり、人生が人を魅了し驚嘆させるものであることも見てきた。
●自己批判は精神衛生のために不可欠である。