榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

『大地』の作家パール・バックは活動的な社会運動家であり、知日家であった・・・【情熱的読書人間のないしょ話(3015)】

【読書クラブ 本好きですか? 2023年7月20日号】 情熱的読書人間のないしょ話(3015)

シマヘビ(写真1、2)に出くわしました。カラスアゲハの雄(写真3)、ヒメアカタテハ(写真4)、ルリシジミの雄(写真5)をカメラに収めました。下校中にセミの抜け殻を数十も集めている小学3年生3人組(男子1名、女子2名)に出会いました(写真6)。見せてもらったら、アブラゼミの抜け殻(写真7)でした。ヘクソカズラ(写真8~10)、アメリカフヨウ(写真11、12)が咲いています。植木屋が湛水しています(写真13)。因みに、本日の歩数は11,251でした。

閑話休題、中国の貧農夫婦が大地主にのし上がる過程を描いた、パール・バックの骨太な年代記『大地』は、『失われた時を求めて』、『ゴリオ爺さん』と肩を並べる外国文学の傑作と、私は考えています。

パール・バックと日本――日本人が知らないパール・バックとその世界』(佐川陽子著、国書刊行会)のおかげで、私の知らないバックの側面を知ることができました。

「バックが社会運動家として八面六臂の活躍をしたこと、また日本人と接触したことと、知日家であったことを、我々日本人は意外と知らないことから、本書は『日本人が知らないパール・バック』を書くこと、そして日本人との交流の記録を史実として残すことを目的とする」。

社会運動家としての活動は、人種差別撤廃運動(移民制限法によるアジア人排除に抗議、黒人差別に抗議、日系アメリカ市民の収容所送りと財産没収に抗議、植民地主義撤廃の訴え、特殊児童達の里親斡旋施設「ウェルカム・ハウス」の開設)、女性の自立と男女同権の訴え、中国人救済(「中国人救済連盟」の募金活動、中国における文盲廃絶の支援)、核兵器反対運動と被爆者の救済、障がい児の親への寄り添い、「パール・バック財団」の設立(アメリカ軍兵士がアジア女性との間に残した混血孤児の支援と、孤児たちの教育施設の設立)――と、多岐に亘っています。

「バックが子供時代に立ち寄った日本は、夢のような国で、美しい風景、洗練された建築、着飾った人々、常に微笑み、いつも礼儀正しく、必ず子供にあげる物を持っていることが、おとぎ話のようで船が日本の港に停泊するのが楽しみだったと述懐している」。

「『革命戦争のために中国から追い出されると、(日本は)避難場所でもあった』『日本は、アジアの中で中国に次いで良く知っている国である』と、バックは日本のことになると饒舌になる。『とにかく私は日本の人々が好き』『私は生半可な日本好きではない』というバックは、後に、日本と日本人を綴った随想集『私が見た日本人』を出版するほどの知日家となったのである」。