榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

外国人から見た、日本の歴史をつくった女性たちの魅力とは・・・【情熱的読書人間のないしょ話(2657)】

【読書クラブ 本好きですか? 2022年7月26日号】 情熱的読書人間のないしょ話(2657)

シオカラトンボの交尾(写真1、2)、打水産卵(写真3~5)を目撃しました。ミンミンゼミの雄(写真6~8)が鳴いています。ナガサキアゲハの雄(写真9、10)、アゲハチョウ(写真11~13)、アカボシゴマダラ(写真11、12、14)が吸水しています。アオスジアゲハ(写真15)、ダイミョウセセリ(写真16)をカメラに収めました。

閑話休題、『英語で読む 日本の歴史をつくった女性たち』(ロックリー・トーマス著、東京書籍)では、20人の女性が英語と日本語で紹介されているが、私の知らない人物も3人含まれていました。

また、私にとって既知の人物であっても、外国人から見ると、こういう点が魅力的に思えるのだなと勉強になりました。

私が注目したのは、「機知に富んだ古の宮廷観察者 清少納言」、「斬新なダンサー、そして、前代未聞の人物 出雲阿国」、「学者、翻訳者、そして悲劇のヒロイン 細川たま ガラシャ」、「日本国憲法の起草人そして芸術的な大使 ベアテ・シロタ・ゴードン」――の4人です。

●清少納言
「彼女の鋭い観察眼は、例えば、夜の逢瀬には夏の方がずっといい、なぜなら夜が短くて愛する二人が眠る前に夜が明けてくれるから、と述べています。別の文章では、この世で最も苦痛なことは愛されないことだ、愛する人の愛情が二番目、三番目になるくらいなら死んだ方がましだと心情を吐露しています」。

●出雲阿国
「能が高度に形式化された踊りであったのに対して、阿国の踊りは予想できない展開と刺激的な動きで、速く、妖艶でまさに革新的なものでした。そうして人々は我先にと競って見物し、歌舞伎熱はあっという間に京都を席巻しました。・・・まもなく歌舞伎は海外でも知られるようになり、17世紀のイギリスの商人が母国への日記や手紙の中で歌舞伎の話を出したほどでした」。

●細川たま ガラシャ
「キリスト教に改宗したあとも学び続けたたまは、周囲の友人にキリスト教を教えるとともに、ヨーロッパからきた本が読めるようポルトガル語とラテン語を身につけました。ヨーロッパでは女性の多くは読み書きができず、ましてや議論を交わすなどもっての外だった時代だったからこそ、神父は驚くと同時に、日本の高貴な女性がこれほど高い水準の教養を享受していることにぞっとしました。・・・宣教師たちは女性の美徳と勇気の模範として、たまの優美さ、知性、そして忠誠心を表すこの悲劇的な物語を世界中で語り継いだのです」。

●ベアテ・シロタ・ゴードン
「1946年2月、タバコの煙が充満する一室で一人の若いユダヤ系アメリカ人女性が、懐疑的な中年のアメリカ人男性たちと女性の権利のために戦っていました。ベアテ・シロタは、アメリカの陸軍元帥であったマッカーサーが命じて作る新たな憲法案の執筆を任され、このまたとない機会を必ず成功させると心に決めていました。・・・憲法に関する知識もないベアテが主張した、米国憲法にもない男女平等を草案に盛り込むのはあまりにも急進的だと男性の同僚たちから指摘されたため、彼女にとって苦しい作業となりました。しかしベアテは意志を曲げず、最終的に日本国憲法第14条と24条には性別による差別の禁止と男女平等についての文言が盛り込まれることになりました。・・・(後年)オノ・ヨーコとは、彼女がキャリアをスタートする時に手助けをした親しい友人で、ベアテの子どもたちはロンドンでビートルズの録音セッションに参加するように呼ばれたほどです。子どもたちは大喜び!」。

英語の勉強にもなる一冊です。