巨石建造物ストーンヘンジの謎に挑戦・・・【情熱的読書人間のないしょ話(2894)】
ハクモクレン(写真1~5)、モクレン(シモクレン。写真6)、ユスラウメ(写真7)、ヴィバーナム・ティヌス(トキワガマズミ。写真8)が咲いています。アオキ(写真9)、ノシラン(写真10)が実を付けています。ツグミ(写真11)、ホオジロの雌(写真12)、ハクセキレイ(写真13)、ヒバリ(写真14)をカメラに収めました。これからの2週間で読むべき本たちが、先ず自分から読んでほしいと、自らの魅力を盛んにアピールしています。
閑話休題、『ストーンヘンジ――巨石文化の歴史と謎』(山田英春著、筑摩選書)は、巨石建造物ストーンヘンジは、いったい誰がつくったのか、何のために建てられたのか、石はどうやって運ばれたのか――という謎に挑戦しています。
「近年、従来の見方を揺るがすような大きな発見が相次いでいる。このモニュメントの背景からは、人口の増大が環境に与える負荷、気候変動が社会に与えるインパクト、集団内の権威・権力やテリトリーを巡る競合、人種間の対立といったテーマも浮かび上がってきている」。
「(2008年の調査により)巨石建造物がつくられたのはさらに四半世紀以上も古く、紀元前2620年頃からというのが現在の見方だ。ストーンヘンジ建造は青銅器文化が入ってくる少し前、新石器時代の末期から銅器が入ってきた頃に行われたことになる」。
「パーカー・ピアソンが考える、川を介して生者の世界であるダーリントン・ウォールズと祖先が眠る死者の世界ストーンヘンジが結ばれるというイメージは、我々にとってどこか腑に落ちるものがあるが、もちろんこれは想像でしかない。ただ、年に一度、死者の世界とつながる時があるという世界観は世界各地にみられるものだ。日本のお盆、メキシコの死者の日も離れ離れになっていた家族、一族が集うのだ。また、ハロウィンはブリテン島やアイルランドの鉄器時代のサムハインという一年の節目を示す行事が元になっている。冬至とは少しずれるが、やはり冬を迎える前に年が変わり、そのとき異界と現世との境界が曖昧になる日なのだ。ストーンヘンジを死者の領域といっても、巨石建造物がつくられた時代の埋葬の痕跡はないではないかという異論もあるが、祖先の霊が眠る場所と考えれば、新石器時代初期にロング・バローがもっていた役割を異なる形、規模でつくったと考えられるかもしれない」。
「ストーンヘンジは100人以上分の骨の埋葬から始まっていた。埋葬されたのはどういう人たちだったのだろう。・・・分析にかけた25体のうち、少なくとも10体は最期の約10年の多くを西ウェールズで過ごした人間のものという結果が出た。つまり、西ウェールズで亡くなって火葬された骨を運んできたか、西ウェールズからストーンヘンジ周辺に来て間もなく亡くなったかのいずれかということになる。全てが後者であるとは考えにくい。さらに興味深いのは、これらの骨の性別だ。・・・これほど女性の比率が高いのは異例だという。・・・分析できたサンプルは一部だが、西ウェールズから祖先の古い骨とともに移動した人たちがストーンヘンジの建造にかかわったことは確かなようだ」。