榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

「世の中に向けて一番語りたいことは?」に対する、神経科学者37人の回答集・・・【情熱的読書人間のないしょ話(1784)】

【amazon 『40人の神経科学者に脳のいちばん面白いところを聞いてみた』 カスタマーレビュー 2020年3月3日】 情熱的読書人間のないしょ話(1784)

ハクモクレン、カワヅザクラ、ナノハナ(セイヨウアブラナ)、イチョウをカメラに収めました。因みに、本日の歩数は10,762でした。

閑話休題、『40人の神経科学者に脳のいちばん面白いところを聞いてみた』(デイヴィッド・J・リンデン編著、岩坂彰訳、河出書房新社)には、神経科学者37人のそれぞれが「世の中に向けて一番語りたいこと」が収録されています。

「脳は時間を正しく歪める」、「リハビリゲームで脳卒中から完全回復を」、「恋愛は生存本能から進化した」、「性的指向は生物学的に決まる」、「脳は仮説を立てる科学者」、「セクシュアルな広告が有効なわけ」、「美人はなぜ美しいのか」、「脳は過大評価されている」、「コンピューターは脳になれない」、「『心』を持つマシンは必ず作れる」など、興味深いテーマが満載です。

「恋愛は生存本能から進化した」では、恋愛は人間にとって非常に基本的なもので、生存にも非常に重要であるため、自然は脳に、正常でポジティヴな依存として愛を組み込んだのだと説明されています。「私たちは互いを必要とするのだ。飢えているときに食物を探し求めるのと同じように、多くの時間を費やして恋愛を求める。単に子どもを持ち、家族を作るためだけではなく、この世界で守ってもらうために、そして楽しみのために私たちは互いを必要とする」のです。

「性的指向は生物学的に決まる」では、ゲイやレズビアンやバイセクシュアルなどの性的指向を決める要因としては、遺伝的要素が数十%を占めるが、それ以上に胎児期から乳児期の化学的(ホルモン)環境の影響のほうが大きいことが報告されています。また、幼少期の生育環境が成人後の性的指向に関係するというエヴィデンスはないことが強調されています。

「脳は過大評価されている」では、「脳が人間の全てを決めている」と考えるのは大間違いで、脳と身体が影響し合いながら人間の行動やアイデンティティを形作っていることが示されています。「ものを考えるのは人間であって、脳ではない。ものを感じ、行為するのは全体としての生物であり、ひとつの器官ではない」という、19世紀の思想家、ジョージ・H・ルイスの言葉を引用して、ルイスは論理的に正しかったと述べています。