榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

『源氏物語』のストーリー展開が、この一冊でバッチリ分かる・・・【情熱的読書人間のないしょ話(3217)】

【僕らは本好き読書隊 2024年2月6日号】 情熱的読書人間のないしょ話(3217)

我が家にジョウビタキの雌(写真1)がやって来ました。撮影助手(女房)が、ジョウビタキよ!と教えてくれたので、押っ取り刀でカメラを手にしたが、こんな写真しか撮れませんでした(涙)。バラの赤い実を食べに来たようです。餌台「カラの斜塔」に積もった雪を除けなかったら、シジュウカラ(写真2~4)はどう行動するかを見るため、そのままにして観察しました。雪と餌箱の僅かな隙間から落花生を啄んでいます。徐々に雪の面積が後退していきます(写真5、6)。「空中楽園」には雪が積もらなかったので、メジロ(写真7、8)たちは普段どおりの食事風景です。

閑話休題、『源氏物語』の全体像を俯瞰するのに大いに役立つ本があります。『源氏物語に学ぶ美しい日本語』(齋藤孝著、ビジネス社)の各帖の「あらすじ」を読めば、ストーリー展開がバッチリ分かります。「齋藤流物語のポイント」、「この日本語に注目!」によって、さらに理解を深めることができます。

  • (1)桐壺(きりつぼ)――宮中は嫉妬の嵐
  • (2)帚木(ははきぎ)――高貴な人の下世話な女性談義
  • (3)空蝉(うつせみ)――拒絶されるほど燃え上がる恋心
  • (4)夕顔(ゆうがお)――生霊が引き起こした悲劇
  • (5)若紫(わかむらさき)――若きヒロインとの出会い
  • (6)末摘花(すえつむはな)――女性への残酷な評価
  • (7)紅葉賀(もみじのが)――生まれ出ずる愛と罪の結晶
  • (8)花宴(はなのえん)――止まらぬ危険な恋のあとさき
  • (9)葵(あおい)――車争いと生霊騒動
  • (10)賢木(さかき)――藤壺の出家と源氏の暗雲
  • (11)花散里(はなちるさと)――昔の恋人と味わうしばしの安息
  • (12)須磨(すま)――エリートを襲った初めての挫折
  • (13)明石(あかし)――枕元に立った亡き父のお告げ
  • (14)澪標(みおつくし)――源氏の帰還と鮮やかな復権
  • (15)蓬生(よもぎう)――真心に報いる源氏の「お世話力」
  • (16)関屋(せきや)――出会いも別れも「逢坂の関」
  • (17)絵合(えあわせ)――寵愛と権力をめぐる雅な戦い
  • (18)松風(まつかぜ)――ひとつ屋根の下、新たな親子関係の誕生
  • (19)薄雲(うすぐも)――愛する人の死と秘密の終えん
  • (20)朝顔(あさがお)――夢に出て釘をさす最愛の女性

「朝顔は、源氏が若い頃から好きだった相手。当時から冷めた反応で、いまだに源氏に心を許しません。諦めきれない源氏は、何度も手紙を送ります。・・・しかし、朝顔が源氏になびく気配は一向になし」。多くの女性に人気抜群の源氏の誘いにも毅然として靡かない朝顔は、『源氏物語』の登場人物の中で、私の一番好きな女性です。

  • (21)乙女(おとめ)――源氏の子育て教育論
  • (22)玉鬘(たまかずら)――亡き恋人の美しき忘れ形見
  • (23)初音(はつね)――新年早々の朝帰りと言い訳
  • (24)胡蝶(こちょう)――美しさゆえに困惑する日々
  • (25)蛍(ほたる)――恋心に火をつける蛍の光
  • (26)常夏(とこなつ)――内大臣を困らせる天然女子
  • (27)篝火(かがりび)―― 一線は決して越えぬ恋
  • (28)野分(のわき)――平安時代に起きた「台風クラブ」騒動
  • (29)行幸(みゆき)――娘が取り持つライバルの一時休戦
  • (30)藤袴(ふじばかま)――親が定めた道に迷う玉鬘
  • (31)真木柱(まきばしら)――家庭を壊した夫への一撃
  • (32)梅枝(うめがえ)――恋多き男の意外な結婚観
  • (33)藤裏葉(ふじのうらば)――ついに現実となった占いの答え
  • (34)若菜上(わかなのじょう)――幼な妻とともに忍び寄る波乱
  • (35)若菜下(わかなのげ)――源氏を絡めとる因果応報
  • (36)柏木(かしわぎ)――愛と裏切りの果てにある死
  • (37)横笛(よこぶえ)――遺品が物語る恋の行く末
  • (38)鈴虫(すずむし)――虫の音に託す男女の本音
  • (39)夕霧(ゆうぎり)――「鬼」になるもならないも夫次第
  • (40)御法(みのり)――最愛の人との永遠の別れ
  • (41)幻(まぼろし)――輝いたまま消えゆく「光る君」
  • (42)匂兵部卿(におうひょうぶきょう)――源氏が遺した新たな主人公
  • (43)紅梅(こうばい)――政治と恋愛、結婚の方程式
  • (44)竹河(たけかわ)――後見のない姫君たちの苦悩
  • (45)橋姫(はしひめ)――最終章の舞台は宇治へ
  • (46)椎本(しいがもと)――家の零落が生んだ恋の迷走劇
  • (47)総角(あげまき)――妹の幸せを願い続けた姉の悲劇
  • (48)早蕨(さわらび)――あてがはずれた薫の重い喪失感
  • (49)宿木(やどりぎ)――いわくつきの最後のヒロイン登場
  • (50)東屋(あずまや)――最後の三角関係の行く末
  • (51)浮舟(うきふね)――葛藤の末に見せた死への覚悟
  • (52)蜻蛉(かげろう)――消えた浮舟と変わらぬ日常
  • (53)手習(てならい)――心の平穏を得て自分を見つめ直す
  • (54)夢浮橋(ゆめのうきはし)――女性として自分の道を切り開く

 

巻末で、著者は『源氏物語』の現代語訳として「林望さんの『謹訳 源氏物語』は、原文の香りをとどめた非常にスタンダードな訳だと思います」と高く評価しています。全く同感です。