榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

歌川広重について、多くのことを学べる一冊・・・【情熱的読書人間のないしょ話(3295)】

【読書の森 2024年4月19日号】 情熱的読書人間のないしょ話(3295)

先生、カワラヒワ(写真1~5)とスズメ(写真6)が並んで水浴びしています! これ、小林朋道の『先生!』シリーズのタイトルを真似してみました(笑)。ハクセキレイ(写真7)、セグロセキレイ(写真8)、ムクドリ(写真9)をカメラに収めました。ハナモモの園芸品種・キクモモ(写真10~12)、ハナズオウ(写真13、14)、ミツバツツジ(写真15)が咲いています。

閑話休題、『もっと知りたい歌川広重――生涯と作品(改訂版)』(内藤正人著、東京美術)のおかげで、私の大好きな保永堂版「東海道五拾三次」55枚の1枚ずつをじっくりと堪能することができました。

そして、歌川広重について、多くのことを学ぶことができました。

●広重は、16歳で浮世絵師になってから20年近く不遇の時を過ごしながらも、師・歌川豊広の温雅で情趣溢れる画風に学び、その資質を少しずつ確実に磨いていった。

●広重は、浮世絵界では傍流であった名所絵に、正確な理解に基づく破綻のない透視図法や、円山四条派の写生画風を積極的に取り入れ、ある意味で従来の浮世絵を離れた新しい画風を組み立てていった。

●広重は、嘉永6(1853)年に江戸から箱根まで旅行し絵日記を残しているが、描き留められたのは長閑で美しい風景だけで、その直後のペリー来航事件は記録されていない。

●広重は、名所絵だけでなく、これも傍流であった花鳥版画の普及にも貢献した。

●広重は、従来は狭い範囲しか旅していないとされてきたが、大英博物館の写生帖の再検討により、天保期に東海道や中山道を実際に旅して、京・大坂や伊勢にも赴いた可能性が極めて高くなっている。

●広重の名所絵については、数多くの種本の存在が明らかになっている。

●広重は、60歳になった年から、愛してやまぬ江戸の景色と人々の暮らしを描く「名所江戸百景」の版行を開始した。

広重の「東海道五拾三次」の「蒲原 夜之雪」、「鞠子 名物茶店」、「御油 旅人留女」、「赤阪 旅舎招婦ノ図」、「庄野 白雨」などは、自分もその場に居合わせたかのような気にさせられてしまいますね。