絵本『おこりじぞう』の絵で知られる四國五郎の詩集『戦争詩』・・・【情熱的読書人間のないしょ話(3537)】
【読書の森 2024年12月11日号】
情熱的読書人間のないしょ話(3537)
久しぶりに、かつての仕事仲間が都心の和食処に集い、思い出話に花が咲きました。因みに、本日の歩数は12,727でした。
閑話休題、詩集『戦争詩』(四國五郎著、四國光編、藤原書店)は、絵本『おこりじぞう』の絵などで知られる四國五郎の没後に、長男・四國光が見つけた『戦争詩』と題された五郎のノートが基になっています。
自らの戦争体験に基づいているため、いずれの詩も心に迫ってきます。
四國五郎が戦争をどう感じ、どう考えていたかを知ってもらうために、「無題」と題された一つの詩を挙げておきましょう。
雑布のごとく よぢれ ちぢこまりて うごかぬ兵よ
手足千切れ 眼のみ空ろにあけ われを見送る兵よ
地雷抱きしまま 大地に頬よせ 去りゆくわれらの靴音をきく 兵よ
われら 捕虜にして 前よりしりへより銃擬せられし身なれば 一つぶの乾パンを兵のまえにおき 空ろなる眼に 背をさしつらぬかれつつ 顔をそむけ 歩むのみ
いずこえとも知らず
――戦争の悲惨さ、不条理さがひしひしと伝わってくる、重たい詩集です。