嫌われ者のカエルたちの嘆きと反論・・・【山椒読書論(287)】
『嫌われ者たちのララバイ カエル』(松橋利光写真・文、グラフィック社)の表紙を見ただけで、女房は顔を背けたが、カエル好きには嬉しい本である。
カラー写真で102種のカエルが登場するが、日本のカエルは僅かである。その説明が振るっている。例えば、トウブスキアシヒメガエルはこんなふうだ。「●原産地=アメリカ合衆国、●大きさ(サイズと雰囲気から、身近なものに例えている)=黄色いキウイフルーツの断面、●見た目の特徴=顔がデビッド・ボウイにそっくり。(色は)イエローオンブラック(イエロー強め)」。
著者が無類のカエル好きだけあって、全篇にカエルへの思いが詰まっている。「俺はお前を愛してる――私がカエルに目覚めたのは小学3年生。・・・とうとう生きたカエルに目覚めてしまったんです。このとき私の人生が決まったと言ってもよいでしょう。このときから今までずっと、愛しのカエルたちと少しでも長く一緒にいられるように、さまざまな努力をしてきました。・・・そのカエル熱が冷めないまま大人になった私は、いつの間にか『カエルカメラマン』になっていました。・・・カエルのことを多くの人に知ってもらいたくてせっせとカエルの本をつくる――あぁ俺はお前を愛している! カエル大好きだ~!」。
「見た目がイヤっ!のお話」、「皮膚気持ち悪っ!のお話」、「動きが怖いの!のお話」、「イメージがよくない!のお話」の各章で、カエルたちの嘆きと反論が語られている。例えば、「うわぁでっかい口! どこまでが口!?」では、「口がでか過ぎて変だって? 変じゃないよ、顔には収まってるじゃん。でっかい口はえさを食べたり、威嚇したり、めちゃくちゃ役に立ってるんだよ! これがかわいいって人もいるんだけどな~」といった具合である。
因みに、人気ペットのランキングは、①ベルツノガエル、②イエアメガエル、③パジェットガエル、ソバージュネコメガエル、⑤アカメアマガエル――となっているそうだ。
この本は、これからは、女房が里帰りしている時に、書棚から引っ張り出して見ることにしようっと。