榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

思考の断捨離・ミニマル思考を身に付けて難問を解決しよう・・・【続・リーダーのための読書論(69)】

【ほぼ日刊メディカルビジネス情報源 2016年9月22日号】 続・リーダーのための読書論(69)

ジャンク思考

私たちの頭の中には、たくさんの「どうでもいいこと」と、「考えても仕方がないこと」が乱雑に散らかっている。これらのがらくた(ジャンク)に囚われ、不毛な議論の末に逆効果の対応を繰り返してしまう。その結果、時間と金とエネルギーを消耗し続けることになる。

ミニマル思考――世界一単純な問題解決のルール』(鈴木鋭智著、かんき出版)では、ジャンクを頭の中から削ぎ落とし、残った最小限の「考えるべきこと」に集中するための方法、すなわち「ミニマル思考」の3つの原則、9つのルールがまとめられている。

第1原則

原則の第1は、それが本当に議論すべき、解決すべき問題かをよく考え、「解決する価値のある問題」を選択することだ。

この問題提起に当たってのルールは、●気分でなく事実で問題を説明できるようにする、●命か金に関わることに限る、●主語を変えて考えてみる――の3つである。

第2原則

原則の第2は、問題を「変えられるもの」と「変えられないもの」に分け、変えるべき問題の解決に繋がる原因の分析に集中することだ。

その際のルールは、●心がけを変えるよりも仕組みを作る、●過去の失敗の犯人捜しをするよりも現在必要な仕組みを考える、●見かけの原因に騙されないようにする――の3つである。

第3原則

原則の第3は、ジャンク思考に陥らず、真の解決策に辿り着く方法を身に付けることだ。

留意すべきルールは、●禁止令、罰則強化は期待するほどの効果を発揮しないと心得る、●本末転倒になっていないか立ち止まって振り返り、問題の本質を見誤らないようにする、●その解決策がまずいと気づいたときは原因分析・問題提起に戻る――の3つである。

ミニマル思考

「私たちの人生にはタイムリミットがあります。何十年後かもしれないし、明日かもしれません。いずれにせよ、誰にでも終わりは来るものです。しかも案外突然に。その残り時間、『どうでもいいこと』に怒り悩み、『考えても仕方のないこと』を愚痴るだけの人生で終わりたいですか? それとも『解決する価値のある問題』を発見し、『クールに解決するアイデア』を生み出す人生でありたいですか? まず、問題ではない問題提起を捨てましょう。・・・次に、解決にならない原因分析を捨てましょう。・・・最後に、コスパの悪い解決策を捨てましょう。・・・ミニマル思考の人にとって、身の回りのすべては『新しい問題解決のゲーム』になります。人生の残り時間で解決したい難問は何ですか?」。