20代を生きるということ・・・【MRのための読書論(70)】
20代で出会いたかった本
もし、20代の時にこの本に出会っていたら、私の人生はもっともっと充実していたことだろう。『死ぬまで仕事に困らないために20代で出逢っておきたい100の言葉』(千田琢哉著、かんき出版)を繙けば、人生の指針となる、厳選された「言葉のシャワー」を浴びることができる。
「人生は、出逢った言葉の質と量で決まる!」――これが、コンサルタントとして3300名のエグゼキュティヴと10000名のビジネスパースンにインタヴューして、著者が下した結論である。さまざまな書籍の中で、「あなたの悩みなど、過去に必ず誰かが経験しているはずだし、これからあなたの身にふりかかるだろう困難な壁の突破方法も、すでに語り尽くされている」というのだ。私の経験に照らしても、同感である。
青年期の言葉の武器
自分の青年期を振り返って、思い当たる、納得できる言葉、そして、心に響く言葉を抜き出してみよう。
●「『時期尚早』『もう少しよく練ってから』が口癖になっているキミへ」は、「99%の人は、準備だけで人生を終えてしまう」という言葉が選ばれている。「準備不足で失敗するのではなく、準備ばかりして挑戦しないから何も成し遂げられない」という著者の忠告どおり、「不戦敗」だけは避けるようにしよう。●「入社前(理想)と入社後(現実)の仕事のギャップに落ち込んでいるキミへ」は、「楽しい仕事はない。楽しそうに仕事をしている人はいる」という言葉。●「プロジェクトはコンテンツがすべてであると連日企画書ばかり書いているキミへ」は、「何をするかより、誰とするか」。「費用を負担するクライアント側としては、企画の内容より目の前の企画を実行してくれるパートナーが、どんな人たちなのかのほうがはるかに気になる」とは、私の体験とも一致している。「『あなたとやって失敗したなら仕方がない』と思われることがプロとしてのスタートライン」――まさに、そのとおりだ。●「5分遅刻くらいでうるさいことを言うヤツとは付き合えないと思っているキミへ」は、「”Time is life.” 遅刻は、殺人と同罪」。●「人付き合いがたいへんでなかなか自分の時間が確保できないと悩んでいるキミへ」は、「群れから脱出すると、時間が増える」。「時間を生み出す方法はいたってシンプルだ」、「意識的に単独行動するようにすると、時間が増えて素敵な出逢いが増える」――著者のこの言葉は至言である。●「ゆったりと優雅に生きている人といつも忙しい自分との違いがわからないキミへ」は、「愚痴をやめると、時間が増える」。●「いつも一流ブランド品をプレゼントし続けてきたからと安心しきっているキミへ」は、「時間のプレゼントが、プレゼントの頂点」。●「いいものを仕上げるためには多少の遅刻はやむを得ないと思っているキミへ」は、「100点目指して期限切れより、0点でもいいから前日に提出」。●「やりたいことがたくさんあり過ぎていつも迷うことで1日が終わるキミへ」は、「何をするかより、何をしないか」。●「上司が石頭でとても一緒に仕事をやっていられないと愚痴っているキミへ」は、「上司をお得意様と考えると、毎日が変わる」。●「実力が不足しているのはわかっているが、それでも出世したいという正直なキミへ」は、「自分に実力がないのなら、陰口だけは言わないと決める」。●「模範解答以外はすべて間違いであると洗脳されてきたキミへ」は、「退屈な模範解答より、ハッとするような不正解のほうが尊い」。●「『納得できません』『根拠は何ですか』が口癖になってしまっているキミへ」は、「『納得できません』が口癖の人は、必ず落ちぶれる」。●「情報収集には菓子折りの一つでも持参していけば十分だと思っているキミへ」は、「短時間で本物の情報を得るには、やっぱりお金が必要」。●「どんな情報通もどうせグーグルには敵いっこないと主張するキミへ」は、「情報を知識に、知識を知恵に昇華させるのが、人間の仕事」。●「たくさん話した割には結局何も伝わらなかったと落ち込んでいるキミへ」は、「『これだけは伝えたいこと』を、一つだけ手帳に明記しておく」。●「この世で最も難しいことは隣人の成功に拍手することだと思っているキミへ」は、「友だちの幸せに拍手できる人が、次の成功者」――これらの言葉を武器に、勇気を奮い立たせて20代を駆け抜けてほしい。
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