非一流大卒が一流大卒に勝つ方法・・・【MRのための読書論(104)】
変えられる未来
自分が一流大卒業者でないことを、今さら悔やんでもしかたがない。過去は変えられないのだから。一流大卒ばかりに目を掛ける上司を恨んでも始まらない。他人を変えることはできないのだから。それだったら、自分の努力次第でいくらでも変えられる自分の未来に焦点を絞り、自らの力で変えていこうではないか、というのが、『非学歴エリート――一流大学に入れなかった僕の人生逆転メソッド』(安井元康著、飛鳥新社)の基本姿勢である。「非一流大卒」に「非大学卒」を含めるという私の拡大解釈が認められるなら、著者の発想と行動に大賛成だ。
逆転したいなら
「『逆転したいなら自分にあった方法で努力をしよう』ということです。・・・『努力は誰にでもできる』『ただし、それには正しい方法が必要だ』」というのである。
著者の「努力」の定義は、「チャンスが巡ってきたときに、それをつかむための準備」であり、「努力する人間には必ずチャンスが巡ってきます。より正確に言えば、チャンスはみなに平等に訪れますが、努力する人だけがチャンスをチャンスとして見据え、つかむことができるのです」。
非一流大卒の著者が「スキルとして私が目をつけたのが、『英語』と『財務や会計といった数値スキル』です。とくに英語については、熱が出ようが、酒に酔っていようが絶対に一日3時間勉強すると決めて、一日も休まずに勉強しました」。
組織でなく「個」の目標
「『自分はこういう人間になりたい』という確固たる目標を持つということです。この目標は、自分のための目標でなければなりません。会社や組織のための目標ではいけません。それでは、まわりにいいように利用されて終わりでしょう。そうではなく、『個』としての目標。これが大切なのです。そして、この目標をいったん肚に据えたら、不要なことはいっさいやらないと覚悟を決めること。これだけのことで成功は約束されます。そして、ここが大切なところなのですが、本当に『自分のためになる』と確信できることであれば、人間は放っておいても努力をするものです。逆に言えば、世間の怠け者のほとんどは、目標がない。おそらく、ただそれだけのことで怠けざるを得なくなっているのだと思います」と、あなたに覚悟を求めている。
本書には「個」という言葉が頻出するが、「基本的に、自分の人生における正解は、自分の環境と対峙するあなた自身の中にしかないのです。苦しくても自分でとことんまで考え抜くこと。それこそが、『個』として生きていくための基本的な態度です」。「その時点での境遇がサエなければサエないほど思いきった挑戦ができる」、「あなたが勝負すべきなのは、昨日の自分です」という言葉は、著者の体験に裏打ちされているだけに説得力がある。
敢えて起業せずに組織で頑張っている著者は、「組織のリソースを利用しながら努力し、成長し、自分の成長が組織の成長にまた跳ね返るのです。こうした組織を作ることができたら、あなたは自分の持っている可能性に感動さえするでしょう」と語っている。「組織を自分のためにどう使うか」、「自分にとってどういう学びがあるのか」という発想が必要だというのだ。
具体的なアドヴァイス
●周りが「今からでは遅い」と言うのなら、あなたがそれを成し遂げる最初の一人になればいい。●人より遅れていることに気がつくことが第一歩。一流のエリートたちと同じレヴェル、ステージにいると勘違いしてはいけない。出遅れているのだから彼らと同じやり方では当然成功しない。強烈な危機感を持って臨むべき。●成功している自分、なりたい自分を常に「妄想」せよ。●失敗したら、それから何を学ぶか、いかに素早く軌道修正するかだ。●周りがデキない・働かない、という環境のほうが、チャンスが増える。●通勤中にスマホでゲームをしている人は生き残れない。●スポーツ選手の応援よりも、そのエネルギーを自分の成長のために投資せよ。
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