手帳に書くと、忘れることができる、だから、目の前の仕事に集中できる・・・【MRのための読書論(136)】
手帳の達人
『仕事が速い人の手帳・メモのキホン――会社では教えてもらえない』(伊庭正康著、すばる舎)では、手帳・メモに関する39の具体的な実践テクニックが紹介されている。発想が柔軟、自分の経験に基づいているので説得力が強烈、説明が明快――の3点で類書を圧倒している。
基本篇
●時間のコントロールに特別な能力やスキルは不要。正しい予定の立て方を知っているか否かだ。「ズバリ、言います。手帳を毎年のように変えても、仕事は速くなりません。ましてや、何種類ものマーカーを使い分けたり、ポストイットを使ってみても、まず仕事は速くなりません。理由は、簡単。それらは、『装飾』に過ぎないからです」。
●手帳に書くと、忘れることができる。だから、目の前の仕事に集中できる。「何をいつまでにすべきかわかっていないから焦ってバタバタする」。
●デジタルの時代だが、敢えて紙が圧倒的に有利。「スケジュールの共有が必要ならデジタル。それ以外なら紙がベスト」。
中級篇
●短時間で成果を出す人は、常にゴールから逆算している。締め切りからの逆算を徹底する。「1ヶ月→1週間→1日と落とし込んでいく」。
●最大のタイム・マネジメントは、やらないことを決めること。やらなくてもいい仕事を見つけ、もっと早く仕上げる方法を工夫する。「当たり前になっている仕事を根本から疑ってみる」。
●その週のスケジュールは、前週の金曜か月曜の朝までに決めてしまう。「今週の目標が達成できるかは、月曜の朝に決まってしまう。達成までのペース配分を月~金で綿密に決めておく」。
●提出すべき報告書・企画書は完璧さよりもスピードを重視する。「『完璧になるまで手離れできない』は独りよがり」。
上級篇
●余裕時間を見つけるには、手帳に先々までのスケジュールを細かく記入し、どこに隙間時間があるかを確認する。
●あらゆるタスクを1時間単位ではなく、30分単位で設定する。「1時間も30分×2で考えて時間のスピード感覚を整える」。
●1週間は4日、1ヶ月は3週間で考え、前倒しの自分締め切りで余裕を作る。「締切直前にアクシデントがあったら? 達人はそこまで考える」。
●忘れてはいけないことは、その場で手帳にメモする習慣をつける。記憶に頼らず、記録に頼れ。「『記憶力』を鍛えるのは限界がありますが、『記録力』はすぐに高めることができます。面倒くさがらず、『これくらいは大丈夫』と思われるようなささいなことこそ、手帳に書く」。「どこに書いたかを忘れないよう書く場所を決めておけば、殴り書きでも大丈夫」。
●同時進行中の複数のプロジェクトは、月ベースで進捗状況をチェックする。「同時進行を軽々こなすにも、手帳がキモ。複数のプロジェクトの忙しい時期をうまく乗り切る」。
●1週間に数時間、未来を見据えた自己投資に充てる時間を確保する。「未来につながることを予定に入れると、モチベーションが上がる」。
しんどい時、つらい時
「きっとあなたもあるのではないでしょうか。なかなか人に言えない『しんどい』日々を過ごしたことが。『しんどい』ことをひとりで抱え込んでしまうと、どうしてもリズムが狂い出し、さらにしんどくなります。・・・まず、『しんどい』と思ったら、こうしてみてください。自分の感情を思いつくままに、手帳のフリーページに『今の気持ち』として書きまくる、と。・・・無防備にSNSやブログで書くなんて愚の骨頂。必ず後悔することになります。そんなときは、手帳にこっそり書き(吐き)出してみてください」。手帳に書くことによって、気分がスカッとする、自分のストレスを客観視できるようになるというのだ。
仕事に追われる毎日、ストレスが多い日々を手帳が劇的に変えてくれることを、ひしひしと実感できる一冊である。
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