九勝六敗を狙え･･･【ことばのオアシス（16）】

九勝六敗を狙え

――色川武大

色川武大（阿佐田哲也）の『うらおもて人生録』（新潮文庫）は、不良少年にして劣等生であった著者が、生きていく上での技術に焦点を合わせて若者に語りかけている。

自分が生きていく上で、どうしても守らなければならない核がフォーム（型、姿勢）だ。フォームはプロの命綱。一生を通じて勝ち抜くために、しっかりしたフォームを作れ。全勝や十四勝一敗はそうそう続くものではない。それよりも、プロは持続が軸と心得て九勝六敗を狙えというのだ。この教えは、著者の独自な人生経験に裏打ちされているだけに説得力がある。

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