なるべく読み返さないようにしている危険な作品・・・【山椒読書論(86)】
【amazon 『姉飼』 カスタマーレビュー 2012年10月20日】
山椒読書論(86)
普段は心の奥底に潜んでいるが、きっかけがあると、突如こみ上げてくる妖しい感情がある。このきっかけとなるのが、『姉飼(あねかい)』(遠藤徹著、角川書店)である。
第10回日本ホラー小説大賞を受賞した際、荒俣宏、高橋克彦、林真理子といった選考委員の間に紛糾をもたらした問題作である。
蚊吸豚(かすいぶた)による、村の繁栄を祝う脂(あぶら)祭りの夜。まだ小学生だったぼくは、縁日で初めて「姉(あね)」を見る。姉らは皆、体を串刺しにされ、伸び放題の髪と爪を振り回しながら、凶暴に呻き叫んでいた。その姿に魅入られたぼくは、同じクラスの美少女・芳美から、隣の家で姉を買ったらしいという話を聞かされる。
この短篇を読むと心身ともに疲弊するので、本棚のこの本にはできるだけ目を向けないようにしている。