榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

クリスマス・ツリーにされたモミの木の悲しい物語・・・【山椒読書論(635)】

【読書クラブ 本好きですか? 2021年12月19日号】 山椒読書論(635)

絵本『バーナデットのモミの木(新装版)』(ハンス・クリスチャン・アンデルセン原作、バーナデット・ワッツ絵、ささきたづこ訳、西村書店)は、クリスマス・ツリーにされたモミの木の悲しい物語です。

「クリスマスのころには、わかくてかっこうのいいモミの木がたくさん切りたおされます。そしてえだをつけたまま、馬そりにつまれて、はこばれていきます。『どこへいくんだろう』と、モミの木はつぶやきました。・・・モミの木は、あこがれにえだをふるわせていいました。すると風がいいました。『ここにいることを、よろこびなさい』。でも、モミの木はちっともうれしくありません」。

「一年のあいだに、モミの木はまた大きくなりました。そして、つぎのクリスマスには。まっさきに切りたおされました。・・・きがつくと、モミの木は大きくてきれいなへやのまんなかにたっていました。その家のむすめさんがやってきて、モミの木をかざってくれました。金色にぬったりんごやくるみ、にんぎょうやおもちゃやプレゼント、それにろうそくが百本いじょうもえだにたてられました。モミの木のてっぺんには金色にひかる紙の星がかがやいています。モミの木は、もううれしくてたまりません」。

「モミの木はゆめをみるようなきもちで思いました。そしてあしたもまた、きれいにかざってもらえるんだと、たのしみにしていました」。

「ところが、つぎの日になると、男のひとがふたりやってきて、モミの木をひきずりたおし、やねうらへとはこんでいってしまいました。モミの木はうすぐらいすみっこになげこまれました。モミの木には、なにがなんだかわかりません」。

ところが、モミの木には、さらに苛酷な運命が待ち構えていたのです。

原作者のアンデルセンは、この物語で、いったい何を言いたかったのでしょうか。