榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

知識や過去の経験則では解決できない問題に直面したとき、どう対処したらよいのか・・・【山椒読書論(692)】

【読書クラブ 本好きですか? 2022年3月23日号】 山椒読書論(692)

“考える人”の育て方――世界への扉を開く(POD版)』(大前研一、ビジネス・ブレークスルー編著、ビジネス・ブレークスルー)で、とりわけ興味深いのは、知識や過去の経験則では解決できない問題に直面したとき、どう対処したらよいのか――を論じた部分である。

著者は、「『論理的に考えている』と勘違いしている人は多い」と指摘する。では、どうすれば、よいのか。

●仮説と結論を混同するな。
「新たな仮説を立て、それをまた検証する。結論というのはそういう『仮説→検証』の繰り返しを経て、最後に到達するものなのだ。基本的なことだが、仮説を裏付ける証拠収集や、ほんとうの結論に至るまでの論理的思考がきちんとできている人は、きわめて少ない」。

●解決策を考える前に根本的な原因を探れ。
「正しい解決策を導き出すために、もっとも大切なことは、『その問題の原因のさらに原因は何か』を、まず明らかにすることである。なぜなら、さまざまなかたちで噴出している『現象』(結果)も、もとをただせば一つか二つの『原因』から生じている場合が多く、この根本的な原因が解決できれば、そこから派生している現象は自ずと消えていくからだ」。

●結論に確信がもてるまで足を棒にして現場を歩け。
「では、原因を明確にするにはどうしたらいいか。まずは、データの収集と分析をきちんとやることだ。・・・ただ、この段階はまだ仮説にすぎない。次に、現場に出ていって最前線で働く人たちの声を聴きながら、その仮説の正当性を検証することが不可欠だ。・・・私は、『これで間違いない』という確信が得られるまで、こうしたフィールド・インタビューをしつこいくらい行う。オフィスでデータをみながら結論をだすことは出来ない。求めているデータがほんとうに存在していることなど稀だからである」。

●抽象的な解決策は一文の価値もない。
「『営業マンの教育に力を入れるべきである』などと提案するのは、はっきりいって二流のコンサルタントだ。私なら、トレーニング方法からメンバーの選定、社内の体制づくり、参考となる社内外の講師までを解決策として提案する」。

●論理的思考は訓練すれば誰でも身につけられるもの。
「『自分を怠惰にさせない』という決意をいますぐしてもらいたいと思っている。中年になってピアノを始めても、練習すればある程度弾けるようになるのと同じく、論理的思考を身をつけるのに、遅すぎることは絶対にない」。