学び続ける力を阻む3つのわなとは・・・【山椒読書論(700)】
『答えのない世界――グローバルリーダーになるための未来への選択』(大前研一、ビジネス・ブレークスルー出版事務局編著、ビジネス・ブレークスルー出版)で、とりわけ興味深いのは、学び続ける力を阻む3つのわな、すぐさま英語が身に付く7つの提言、好奇心の高い子どもグループと低い子どもグループ――の3つである。
●学び続ける力を阻む3つのわな――
①「死の谷」
「あることを学ぶ、または学ばせたいときに、学習者にとって難しすぎる、基礎知識が不足している、使い方が分からない、といった理由で取り組む前から挫折するというものです。・・・このわなは、最初の導入時の大切さを教えてくれます」。
②「ダーウィンの海」
「受験勉強や出世競争など、弱肉強食の世界で消耗しながら学び続けるものの、擦り切れてしまい、以後学ぶことをやめてしまうことです。・・・人生の中で何度か、集中して学ばなければならない時期はあるとしても、知的好奇心を刺激するアプローチをなるべく選択してあげたいと思います」。
③「誘惑の島」
「学びは本来楽しいものであったとしても、学びより楽しいことはやはりあるわけで、誘惑に負けて、より楽しいことに学びの時間が奪われていきます。子どもが小さいうちは、誘惑の島を避ける道案内をしてあげるのも大切かもしれません」。
●すぐさま英語が身に付く7つの提言――
①日々情景を英語で実況放送せよ。
②外国人の道案内で学べ。
③まずは英語で自己紹介の練習だ。
④英語「ながら族」になれ。
⑤自分がわからない表現は必ず書き留めよ。
⑥TOEIC600点までは「筋トレ」だ。
⑦でも点数は関係ない! 英語は「即興」である。
●好奇心の高い子どもグループと低い子どもグループ――
▶好奇心とIQは正の相関は見えていない。
▶しかし好奇心と学力とは正の相関があり、好奇心は良い学びを誘発することが分かっている。
▶好奇心の高いグループと低いグループに氷に関する普通でない質問を作るよう指示し、創造性を調査した結果、時間の制約を設けた場合に差異はでなかったが、制約を儲けなかった場合は、高い好奇心を持つ子が多くの質問を作った。
▶好奇心の高い子は、自己を信頼しており、個人的自由の感覚は高く、不安感が少ない。
▶好奇心の高い子どもグループと低い子どもグループに分類し、親の態度と子の好奇心の関連を調査した結果、高い好奇心を持つ少年の親は、子どもの独立心を育み、親子間に平等主義がある(頭ごなしでない)。
▶目新しいものと見慣れたものの両方がある遊戯部屋での母子の行動を調査した結果、高い好奇心と社会性を持つ子どもの母親は、「高い好奇心を有し」「感情はポジティブで」「多い質疑応答があり」「子どもを拘束せず」しかし「常に意識を子どもに向けていた」。