ソローの「森の生活」を、現代の日本で仲間たちと実践しているって本当ですか・・・【山椒読書論(816)】
【読書の森 2024年7月12日号】
山椒読書論(816)
『未来組曲――ミュアヘッド・フィールズの過去・現在・未来』(中島健一郎著、毎栄)を読んだら、ヘンリー・デイヴィッド・ソローの『森の生活』を思い浮かべてしまった。
千葉県市原市に出現したアメリカン・スタイルのゴルフコースと住宅地が一体化したコミュニティ「ミュアヘッド・フィールズ」。このユニークなコミュニティがどのように構想され、実現するまでにどれほどドラマティックな展開があったのか、そして、今後、どのように発展させていこうとしているのかが、ここに自分好みの家を建て、週2回はラウンドしている80歳の著者によって綴られている。
住宅建設に当たっては、この土地に生えていた木を1000本ほど使うという地産地消を実践したこと、住民については、子供、青年、中年、高齢者、女性、男性のバランスが取れており、フランス、ドイツ、スイス、イタリア、中国、韓国、日本と国籍の多様性に富んでいること、ジュニア・ゴルフなどジュニアが活躍できる設備が備わっていること――が述べられている。
とりわけ私が注目したのは、このコミュニティでは直接民主主義が採用されていること、多面的な持続可能性が考慮されていること、未来に向けた新しい価値創造の一つのモデルが示されていること――の3つだ。
著者はソローには言及していないが、ソローの湖の畔の「森の生活」が実践できていますねと尋ねたら、どんな答えが返ってくるだろうか。