「原発は安全で、コストが安くて、クリーンなエネルギー」は、全部ウソ・・・【情熱的読書人間のないしょ話(533)】
我が家の庭では、常時、何匹かのヤマトシジミが飛び回っていますが、目まぐるしく動くので、なかなか写真を撮ることができません。たまに止まっても翅を閉じていることがほとんどなので、翅の表を写すことは難しいのです。粘りに粘って、雌の翅の表をカメラに収めることができました。
閑話休題、『黙って寝てはいられない』(小泉純一郎談、吉原毅編、扶桑社)には、小泉純一郎の「原発ゼロを!」という熱い思いが籠もっています。
「原発推進側が『半年か1年たてば、結局は原発がないと無理だということが分かる』と言っていたところが、2013年の9月から2015年9月までゼロでやってこれちゃった。しかし実は、日本が『原発ゼロ』でやってこられたのはこの2年間だけではないのです。・・・実質、原発事故以降の5年以上『原発ゼロ』でも大丈夫だったということを事実が証明しているのです。この間、一度も電力不足にならなかった。江戸時代の生活にも戻っていない。この事実は重いですよ。日本は世界に先駆けて『原発ゼロ』で十分やってきているのですよ」。
「原発を推進する大きな理由として挙げられているのが、『原発のコストは安い』ということです。しかし調べれば調べるほど、原発ほどお金のかかる産業がないことが分かってきました。・・・なおかつ、千年、万年、ゴミの管理費を負担し続けなければいけない。処分場にしても、廃炉するにしても、エネルギーをつくるにしてもお金がたくさんかかります。原発をやっている限り、さらには止めたとしても、ずっとお金がかかり続けるのです。・・・『原発は安い』という議論には、そういった多額のコストが入っていないのです」。
「(使用済みの防護服の)処理すら一苦労なのに、使用済み核燃料の処分などはもっとたいへんです。10万年も恐ろしい放射能の害毒を流す。100年、200年どころじゃない。千年、万年も、核のゴミのお守りをしていかなければならない。それなのに、こんな単純なことがどうして分からないのか不思議でしようがない。それどころか、憤りを感じますね。何でこんな不自然なことをやっているのかと」。
「『原発は安全で、コストが安くて、クリーンなエネルギー』。これは全部ウソだということに私は気づきました。こういうことをいろいろな場所で何度も言っているのだけれど、政府も経産省も資源エネルギー庁も環境省も『小泉さん、ウソを言わないでください』なんて文句をひとつも言ってきませんよ。本当のことだからでしょう。これだけ原発推進勢力、電力会社がさまざまな原発必要論を広める運動を展開していく中で、世論調査をしてみると『原発を止めたほうがいい』という人の方が多いのです。根強いのです。これは大事ですよ。捨てたものではない。いずれ必ず、大きく動く時がきます。『政府が原発を推進しているから仕方ない』と諦めないでもらいたい。ぜひとも『原発ゼロ』に向けて、ともに頑張っていきたいと思っています」。
「(福島第一原発の)事故をみてね、『安全でコストが安くて、クリーンエネルギー。これは本当だったのかな』と疑問を持つようになりました。安全と言われてきた日本の原発が、なぜあんな大事故を起こしてしまったのか。専門家の言っていたことは本当だったのか。総理を辞めて時間ができるようになりましたから、いろいろ自分なりに勉強してきたんです。・・・原発推進論も含めてたくさんの情報を見比べた結果、『原発は安全じゃない。金まみれの、金食い虫の産業だ。クリーンエネルギーなんてとんでもない、環境汚染産業だ』というのが分かってきたのです。総理時代の私は、頭のいい人たちにだまされていたんだと」。
「今後はどんどん自然エネルギーが発展していきますよ。太陽光も風力も。『日が翳ったら太陽光はダメ、風がやんだら風力はダメ。安定供給できない』なんて言われて否定されてきましたが、いまは蓄電技術がどんどん発達しています。しかも自然エネルギーは、普及するにつれてどんどんコストが安くなっています」。
「『原発がなければ日本経済は発展しない』なんて、とんでもないですよ。むしろ自然に存在する太陽光や風力、地熱、潮力、そういった自然界に無限にあるエンルギーを電源にして、『原発ゼロ』で経済を発展させたほうがはるかにいい。そんな時代が必ず来ます」。
小泉の原発ゼロ論は完璧に筋が通っているので、説得力があります。私は、小泉の「原発ゼロ」論に全面的に賛同します。