京都の紅葉、雪景色に溜め息が出る写真集・・・【情熱的読書人間のないしょ話(586)】
散策中に、ゴクラクチョウカを見つけました。嘴のような苞から橙色の花が伸びています。コエビソウは、鮮やかな色の苞から白い花が顔を出しています。ランタナは、次第に花の色が変化します。イチゴノキが赤い実を付け、釣り鐘状の花を咲かせています。ナツメの実は梅干しを思わせます。因みに、本日の歩数は10,234でした。
閑話休題、『京都 紅葉めぐり、雪模様――写真家の散歩みち・秋冬編』(水野克比古写真・文、小学館)は、京都を愛する写真家の手になる京都の紅葉と雪景色の写真集です。
毘沙門堂の紅葉は息を呑む鮮やかさです。「荘重な勅使門へ向かう参道は、きらびやかに彩ったカエデの紅葉で覆われる」。
上御霊神社の敷き詰められたかのような黄葉は見事です。「社殿奥の(イチョウの)大樹が黄葉を一斉に散らせ、深い森が明るく輝く」。
哲学の道の紅葉は趣があります。「霊鑑寺から疎水べりの哲学の道を南へ歩む。宗諄女王墓のあたり、色づく葉が水面に影を映す」。
「書院に座して蓮華寺庭園を望む。閑静な空間にカエデの華麗な色彩が加わり、金碧の障屏画が広がる」。
紅葉の散り際も風情があります。「淀君と妹・お江ゆかりの養源院。乱世に生きたふたりの女性に思いを馳せ、落葉の参道を歩む」。
「最近のデジタルカメラは、どのような撮影条件にでも対応できるプロ写真家並みの技術機能を備えている。『下手の考え休むに似たり』の諺に従って、美しい紅葉の光景に出会ったときは、自分の感情のおもむくまま、躊躇せず構図を決めて、シャッターを押す。写真表現は時間を捉えること。時は待ってくれないから」。
京都は雪景色も味わいがあります。「梢に朝日が射し始めたが、深い樹木に囲まれる高桐院の参道はまだ雪が解けずにある。石畳がいっそう美しい」。
実際に京都を歩くときのガイドとして重宝ですが、訪れなくても十分愉しめる写真集です。