大型画面から北斎の浮世絵の迫力が伝わってくる・・・【情熱的読書人間のないしょ話(649)】
今日は、バード・ウォッチャーの私にとって最高に嬉しい一日でした。千葉・印西の戸神川防災調整池での野鳥観察会に参加し、オシドリを見たい、写真に撮りたいという長年の夢が叶えられたからです。しかも、数羽ではなく、100羽以上が群れているではありませんか。私のデジカメではこれで精いっぱいですが、人が近づけない距離だからこそ、オシドリたちも安心して群れているのだと、自分を納得させました。コガモ、カワウもいます。固まって越冬中のヨコヅナサシガメの幼虫、クヌギカメムシの卵(この中に100個ほどが入っている)を観察することができました。ヤママユガの繭の抜け殻、ヨモギ、ツチグリも見つかりました。ツチグリはキノコで、袋を軽く叩くと先端の穴から胞子が放出されます。大量に繁殖した鉄バクテリアの酸化作用で水門のコンクリートが錆色に変色しています。因みに、本日の歩数は16,927でした。
閑話休題、『北斎原寸美術館 100% Hokusai!』(小林忠・橋本麻里・山本野理子執筆、小学館)は、縦29.8cm、横42.4cmという大型画面ならではの、本書の長所が存分に生かされ、葛飾北斎の浮世絵の迫力がびしびしと伝わってきます。
全ページ、いずれも北斎の向上心溢れる工夫が蓄積された作品ばかりですが、「富嶽三十六景」中の「駿州江尻」では、北斎らしさが爆発しています。遮るもののない野辺を行く旅人たちに吹きつける強風。思わず体を傾げて笠を押さえる者たち。一番手前に描かれた旅人の手元からは、懐紙が次々と音を立てて空中高く舞い上がっていく。ここぞという数瞬の動きをデフォルメすることによって、流れ行く時間を動画的に表現することに見事に成功しています。
全15冊、図数3600に及ぶ、絵を学ぼうという者たちへの絵手本帳「北斎漫画」は、北斎の関心の広さと、観察眼の鋭さ、卓越した描写力が、余すところなく発揮されています。
我が家にいながら、北斎の大規模美術展会場を訪れているかのような錯覚に襲われる一冊です。