榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

この一冊で、スピーチ上達、仕事のコツ習得、元気もりもり・・・【情熱的読書人間のないしょ話(707)】

【amazon 『本日は、お日柄もよく』 カスタマーレビュー 2017年3月23日】 情熱的読書人間のないしょ話(707)

散策中、カワセミの雄にばったり出くわしました。カワセミ大好き人間の女房は大喜びです。餌漁りで濡れたアオサギが高い枝の上で羽繕いに熱中しています。コガモのペアが寄り添っています。因みに、本日の歩数は10,650でした。

閑話休題、『本日は、お日柄もよく』(原田マハ著、徳間文庫)は、スピーチ上達読本であり、お仕事小説であり、女性応援小説です。

あまりぱっとしない27歳のOL、二ノ宮こと葉は、30代後半の伝説のスピーチライター・久遠久美の感動的かつ衝撃的な祝辞に出会ったことから、一念発起して久美の下でスピーチ修行を始めます。スピーチの実力が付いたことで会社の重要な仕事を任されるようになり、やがて退社してプロのスピーチライターに。そして遂に国会議員のスピーチライターになるというサクセス・ストーリーです。

久美から伝授されたスピーチの極意10箇条は、こうなっています。①スピーチの目指すところを明確にすること。②エピソード、具体例を盛りこんだ原稿を作り、全文暗記すること。③力を抜き、心静かに平常心で臨むこと。④タイムキーパーを立てること。⑤トップバッターとして登場するのは極力避けること。⑥聴衆が静かになるのを待って始めること。⑦しっかりと前を向き、左右を向いて、会場全体を見渡しながら語りかけること。⑧言葉はゆっくり、声は腹から出すこと。⑨導入部は静かに、徐々に盛り上げ、感動的にしめくくること。⑩最後まで、決して泣かないこと。

三共(現・第一三共)の秘書部で、社長のスピーチライターを務めた経験のある私は、こと葉が広報戦略室に異動になり、すさまじい数の演説原稿を書くことになるシーンに、思わず当時の自分を重ねてしまいました。

テンポのよいストーリー展開を楽しみながら、スピーチが上達し、仕事のコツが身に付き、自分も頑張るぞという気持ちになれるというのですから、間違いなくお得な一冊です。