榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

アマゾンは、今や、単なるネット書店、ネット・ショップではないのだ・・・【情熱的読書人間のないしょ話(1077)】

【amazon 『アマゾンが描く2022年の世界』 カスタマーレビュー 2018年4月4日】 情熱的読書人間のないしょ話(1077)

イワツバメをこの目で見たい、カメラに収めたいという長年の夢が遂に叶えられました。巣作りに励んでいます。イワツバメは喉も腹も白一色なので、腹は白いが喉と額が赤いツバメと見分けることができます。女房が庭師を務める我が家の庭では、一風変わったチューリップ、白いシバザクラ、赤紫色のムラサキケマンが咲いています。クルメツツジが桃色の花を咲かせ始めました。フクロナデシコも桃色の花を咲かせ始めています。我が家では殺虫剤を使わないので、フクロナデシコの葉にウリハムシがいます。因みに、本日の歩数は10,404でした。

閑話休題、『アマゾンが描く2022年の世界――すべての業界を震撼させる「ベゾスの大戦略』(田中道昭著、PHPビジネス新書)には、意外なことが書かれています。

「『アマゾン効果』(Amazon Effect)という言葉が、米国内外で注目を集めています。元々はアマゾンがEC(エレクトロニック・コマース、電子商取引)や小売業界に影響を与えていることを意味していたものが、最近ではさまざまな産業や国の金融・経済政策にまで影響を及ぼしていることを意味するまでになってきています。・・・EC、物流、クラウドコンピューティング、リアル店舗への展開、ビッグデータ×AI、そして宇宙産業。『世界一の書店』から、『エブリシング・ストア』、さらには『エブリシング・カンパニー』へと、そしてEC企業、小売企業、物流企業、テクノロジー企業へと変貌を遂げてきたアマゾン」。アマゾンは、今や、単なるネット書店、ネット・ショップではないのです。

「(米国のアマゾン恐怖銘柄)指数は英語の原語ではデス・バイ・アマゾン(Death by Amazon)と呼ばれ、アマゾンの収益拡大や新規事業参入、買収などの躍進の影響を受け、業績が悪化すると見込まれる小売関連企業54社で構成されています」。日本でも、企業の間でアマゾン恐怖症が広がっています。

アマゾンを率いるジェフ・ベゾスとは、どういう人物なのでしょうか。「一言でいうならば、ベゾスはすべてにおいて両極端な人物のようです。長期にわたりミッションを追い続ける『超長期』の視点と、PDCAを超高速回転させる『超短期』の視点、あるいは陰と陽。性格的にも、すごくフレンドリーだったかと思えば、怒り狂ったりもする人物といわれています。人として好ましい人物かといえば、それは疑わしいようです。しかし、こうしたベゾスのパーソナリティがアマゾンをアマゾンたらしめているという事実は、疑いようもありません。アマゾンが驚異的なのは、顧客第一主義が単なるお題目に終わらず、すべて貫徹、『やり切る』ところ。常識的な人間には、そんなことは不可能です」。「きわめて優秀であると同時に、ビジョナリーであるという点。ひとつのビジョンのもと、とことん働き、それゆえ尊敬される反面、時にはやりすぎるあまり周囲に疎まれながらも、構わずやり切ってしまう」。

アマゾンのリーダーシップについて、興味深いことが記されています。「ベゾス自身のリーダーシップの特徴のひとつは、『ビジョナリー・リーダーシップ』であるということです。ビジョンの創造と実現が第一の要件であり、人がワクワクするような、自分もそこに参画してみたくなるような将来像を描き、メンバーに提示する。これができれば、仮に『人間としては付き合いづらい』まるで火星人のような経営者であったとしても、人を惹きつけ、ビジョンの実現に向けて人を動かすことができる、というわけです。一方で、アマゾンという組織全体で重視されているのは、どのようなリーダーシップなのでしょうか。その最も重要な答えが、『セルフリーダーシップ』を明快に組織全体のリーダーシップの根底に位置づけているということです。アマゾンでは、社員一人ひとりがリーダーであり。自分自身にリーダーシップを発揮することがリーダーシップの最も重要な定義とされているのです」。

私が意外な思いに囚われたのは、アマゾンの現状と将来を分析する本書が、中国のアリババを高く評価している点です。「拡大を続けるアマゾン経済圏は、米国に始まり欧州、日本、アジア全域へと広がっています。アマゾンの分析を深めるにつれ、その強大さに圧倒されてしまいそうになりますが、実は、ある点ではアマゾンをすでに凌駕し、中国を拠点にアジア、日本、そして欧州へという逆のベクトルで世界を席巻しようとしている企業が存在しています。それがアリババです」。著者は、今後の世界では、アマゾン経済圏とアリババ経済圏の激しい戦いが展開されると予測しています。大前研一が、世界の全企業の中でアリババを一番高く評価していることを思い出してしまいました。