ポスト安倍に最も近い人物は誰か・・・【情熱的読書人間のないしょ話(1334)】
ツバキが白い花を咲かせています。ハウチワカエデが黄葉しています。モミジバスズカケノキ(プラタナス)の黄葉は、かなりの大きさです。ポインセチアのさまざまな色合いの苞が目を惹きます。因みに、本日の歩数は10,177でした。
閑話休題、『大前研一 日本の論点2019~20』(大前研一著、プレジデント社)の予測・提言の中で、とりわけ私の心に刺さったのは、「ポスト安倍に最も近い人物」、「ハイテク覇権争いは米中2カ国に絞られた」、「習近平体制下の中国の現状」の3つです。
「安倍一強の物申せない空気の中で、正論を吐ける小泉進次郎氏は器が大きいのだろう。地味な役職を労を惜しまずにこなしてきたから党内での人気も高い。総裁選に立候補すれば勝ち切る可能性も低くない。そのタイミングに注目だ」。小泉進次郎の日本外国特派員協会での「健全な野党との間で政権交代が起こり得るようになり、政治に緊張感が生まれることが望ましい」との発言に接し、大前の指摘に思わず頷いてしまいました。
「この5年で世界のハイテク業界図はすっかり塗り替えられた。自動車の電子化辺りまでは日本やドイツなども先頭集団に属していたが、AIやIoTの時代になってハイテク覇権の争いは完全に米中2カ国に絞られた」。「(中国の)深圳にはあらゆる部品をつくり出す産業基盤が整っている。STEM教育(Science<科学>、Technology<技術>、Engineering<工学>、Mathematics<数学>を統合的に学ばせる教育)を受けた人材が集まり、世界中から投資も集まってくる。まさに人、カネ、モノを呼び込んで繁栄する世界最先端都市なのだ」。私も深圳を訪れた時、同じことを実感しました。
「天安門事件も今は昔。中国における民主化運動は完全に下火。若い世代を含めて、怒りを封印して自己正当化する術を覚えてしまったのだ」。
大前研一の主張は、何事に対しても常に直截・明快です。「長期政権の腐敗臭をどれだけまき散らしても揺るがない、対抗馬すらまともに出てこない安倍政権の強さは、日本の政治の劣化と裏表である。安倍政治のアディショナルタイムによって、日本の真の改革が手遅れにならないことを祈るばかりだ」。
「現代史においてもっともシビアなメッセージは何かと言えば、財政赤字は政治家の怠慢によって生み出されるということだ。そして『経済を膨らませて借金を返せばいい』などと歴史的に見てもほとんど実現不能な政策を掲げる政治家が裏ばれるのは、国民が怠慢だからである」。
「給料が上がらない一方で、税金や年金の負担は年々重くなっている。このために国民のマインドは将来不安からシュリンクして『低欲望』になる。景気が低迷しているのに、10年前は約1400兆円だった日本人の個人金融資産は今や1800兆円を超えている。蓄えが増えているのは将来不安の何よりの証だ」。
「『大前さんの政策提言はよくわかった。でも日本の政治でそれをどうやって実現するんですか?』。厳しい問い掛けだが、それに答えるなら一歩目は選挙制度の改正しかない。現状の小選挙区制では、日本の論点を政治が正しく抽出して、正しい方向で議論し、正しい決断を下すことはできないだろう」。同感だが、具体的にどう進めていくかを詰める必要があります。