シルクロード好きには堪らない、包括的なシルクロード事典・・・【情熱的読書人間のないしょ話(1497)】
我が家の庭で、ヒメヒオウギが赤紫色の花を咲かせています。どんどん増えると、庭担当の女房には評判が悪いのだが、実は、私はドクダミの独特の香りと可憐な白い小さな花(正しくは総苞)が嫌いではありません。小さな薄桃色のバラが見頃を迎えています。桃色のサツキが満開です。アジサイの花が青みを増してきました。今シーズン初めて、ニホンヤモリがキッチンの曇りガラスに登場しました。これから毎晩、やって来ることでしょう。因みに、本日の歩数は10,444でした。
閑話休題、『読む事典 シルクロードの世界』(シルクロード検定実行委員会編、NHK出版)は、シルクロード好きには堪らない一冊です。
「シルクロードは、人類の汗と労苦と智恵と努力と喜びの結晶である。アジアとヨーロッパとアフリカを結びつけたシルクロードを往来した人びとは、経済的な利を求める交易商人ばかりではなかった。伝教の情熱に燃える者もいれば、異郷への憧れと好奇のまなざしに誘われ冒険の旅に出る者もいれば、国追われて流浪する人びともいた。シルクロードは、こうした文化を異にした人びとが長年にわたって踏みしめてできた広大な空間をよぎる複雑な道を総称して、後世に(地理学者・リヒトホーフェンによって)付された名称である」。
「探検家たち」、「求めた道」、「仏教」、「さまざまな宗教」、「いきものたちと意匠」、「衣食住」、「地中海世界」、「ペルシア世界」、「ユーラシア中央部」、「ガンダーラと南アジア」、「東アジア」、「日本」と、多面的にシルクロードが解説されています。
例えば、探検家のスヴェン・ヘディンについては、こういう一節があります。「1899年に始まる第2回(中央アジア)探検ではロプ・ノールの枯れた湖床を確認し、同時に楼蘭遺跡を発見。・・・1934年に三たび楼蘭を訪れ、ロプ・ノールに関する自説(=ロプ・ノールは、さまよえる湖だという仮説)を自ら証明することになった」。
ゾロアスター教は、このように説明されています。「宗祖ゾロアスターのアヴェスター語の原名はザラスシュトラ。・・・生年についても諸説があって、前1000年から前7世紀までの間を揺れ動いている。・・・ザラスシュトラは祖先崇拝を含む多神教的なペルシア古宗の祭官(ザオタール)であったが、30歳の時、啓示によって『光明と智恵の神』アフラ・マズダーを唯一の最高神とする新たな宗教を開き、苦難の伝教活動の末、42歳の時、ウシュタースパ王の入信と保護を得て布教を拡大し、77歳の時、バルフで没したという」。
ロプ・ノールの歴史が記されています。「中国新疆ウイグル自治区チャルクリク県でタリム盆地東端にあった、内陸河川のタリム川、孔雀川やチャルチャン川などが流入していた末端湖で塩湖。20世紀後半(中国科学院によれば1962年)に完全に消失しており、衛星画像に見える旧湖床は、結晶化した白い塩で覆われ、人間の耳のような形を呈している。湖畔には5世紀頃まで楼蘭王国が栄えていたことが知られている。・・・前1世紀頃の記録では広い面積を占めていたが、流入する水量の減少とともに湖面が縮小していったと考えられている」。
ウイグル族については、かつてのウイグル族と現代のウイグル族は分けて考えるべきと書かれています。「4~13世紀にモンゴルや中央アジアで活動したテュルク系遊牧民族、および近代以降、東トルキスタンのテュルク系ムスリム定住民で『ウイグル』をその包括的な呼称として用いることとした人々」。